2014年7月27日日曜日

太陽撮影システム (Daystar社 ION 0.7Å) その2

昨年の6月に、Daystar社のION-Filterを紹介しました。その時は、次回はこのFilterの使い勝手云々などと書きましたが、すっかり忘れていました。今朝方、少しデータが取れたので、忘備録を兼ねて紹介します。
写真のユニットが、Daystar社のION-Filterです。モノについては、昨年のブログを参照してください。このFilterを使用する場合、いくつかクリアしなければならないポイントがあります。

① 説明書が超カンタンで、実際なにも分からない。
ユニットの画像を見てもらうと、「SUN」、「RED」、「BLUE」などのシールを貼っていますが、理由は、これらの情報が説明書に記載されていないためです。全部、メーカーに英文メールを送って確認しました。

② 電源が必要
このFilterは、温度制御をして通過波長を調整しています。したがって、+12Vの電源が必要です。また、温度が安定するのに5分程度かかります。波長調整後にも、数分待つ必要があり、チルト調整のように画像を見ながら調整することができません。

③ Hα波長の微調整
メーカー出荷時に調整はされているようですが、ユニット画像にあるダイヤルで、±0.5Å程度波長をシフトさせることができます。下記の画像は、Hαを中心に0.2Å程度シフトさせた時の画像です。見ての通り、この程度の波長変化でも、表面模様がかなり変化するのが見て取れます。いつもは、Hα(センター位置)で撮影していますが、黒点周辺のプラージュは、Hα-0.2Åの画像の方が明らかに明るく見え、小さいプラージュも確認できます。


④ 画像ムラ
これが、一番大変です。太陽望遠鏡においては多かれ少なかれ、この問題に直面する方が多いと思いますが、このFilterもしかりです。
まず、このFilterだけではないのですが、ASI130MMは、干渉リングの発生が顕著でした。これは、カメラの取り付けアダプターを傾けて、改善しました。ただ、改善後も、輝度ムラが残ります(画像の右側)。このムラはけっこう激しい箇所があり、1/2"CCDだと画面の1/3まで被ります。これを改善するため、カメラを中心からオフセットさせました。ぐりぐり回してずらして、一番ムラが少ない位置を決めています。最後の画像が調整後接眼部周辺です。干渉リング防止目的で、紙を挟んで傾けていているのと、カメラをオフセットさせるため、フランジが上下でずれているのが確認できます。



いかがでしたか? 面倒くさい? お金があれば、Daystar社のQuantumにすれば、もう少し使いやすくなると思いますよ。
ではでは・・・

8 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

ION-Filterは透過波長の微調整が可能なのですね。
でもその調整はかなり面倒そうなので、単純な私には使いこなせないこと間違いなしです。
CMOSセンサーでの太陽撮影では縦や斜めのノイズが邪魔ですね。
それを軽減される為に色々と工夫されているのですね。
P.S.T.用のカメラ、QHS5-2は良さそうです。

@hasyama さんのコメント...

ヨネヤンさんへ
Daystarのフィルターは、ホント手間はかかります。条件出しをすれば、それなりに安定はするのですが、そこに至るまでの道は長いです。
ASI-130MMは、120MMと比較してもノイズが大きいのが欠点ですが、プロミネンスの撮影時に、30FPSで画像を得られるメリットは、大きいです。

Unknown さんのコメント...

こんにちは。

Daystarのフィルター興味はあるのですが使いこなしが難しそうですね。
hasyamaさんの画像を見ていると使いこなすのは無理とは思いつつ食指が動きそうです。


ちらっと、Daystar社のページをみるとアイピース型のものもあるみたいでこちらは安価でオールインワン仕様らしいので(プロミネンス用と彩層用と別れているみたい?)ためしに購入してみたい衝動に駆られています(^^ゞ。

ひろぽん

@hasyama さんのコメント...

ひろぽんさんへ
Quarkですね。価格が安いので、クリックしかけたことがあるのですが、思いとどまった記憶があります。なんか怪しいんですよね。半値幅の記載なんて、0.3~0.5Å(彩層用)。なぜ幅があるの?
でも、海外の画像を見ると、けっこう凄いのがあるので、当たればいい買い物だと思いますよ。半値幅0.3Åのフィルターなんて、まともに買うと凄い金額ですから。

Unknown さんのコメント...

hasyamaさん  ごぶさたです。
Quarkを購入して1ヶ月です。Quantumも使っていますが、コストパフォーマンスは最高です。
 Quarkの透過波長に幅があるのは、製品のばらつきがあるのでそのようにしています。ラントでもコロナドでも、0.7Åと言っても、その波長にばらつきがあります。
 私の使っているラントのCaKモジュールは、半値幅は2.2Åと狭くて良いのですがCaK線より+2.4Å長波長にずれています。友人所有のラントCaKモジュールは、-1.2Åです。
 そんなことで、デイスターは正直なのです。

@hasyama さんのコメント...

Oshimaさま
お久しぶりです。
ASI130MMの記事、参考にさせて頂きました。私にシステムとのマッチングが良いようで、画質が一段向上した感があります。この場を借りてお礼をさせていただきます。
Quarkですが、コストパフォーマンスは良さそうですね。Daystarに確認した時は、IONと比較するとFilterサイズが20mmでやや小さい、温度安定に時間がかかるなど点が異なると言っていました。でも一番の違いは、Oshimaさんの書かれたとおり、仕様を甘くしている点でしょうか。その分、ロスが少ないので価格を安くできたわけですね。
私のIONは点検中なので、当面撮影できそうにありません。戻ってくる頃には、庭先からの撮影は無理かもしれません。

Unknown さんのコメント...

hasyamaさん
点検中とは?入院ですか。
IONの保証期間はまだすぎていないですよね。私がQuantumを使い出したときは、まだIONは無かったですから。
Quarkは、とても調子良いです。Quantumより早く撮影に入れるし。それに、プロミネンスモデルなので今のところムラは無いようです。飛騨天文台の分光器で、波長特性を見ましたが、大変素直でした。

@hasyama さんのコメント...

Oshimaさま
IONの件、点検中とは書きましたが実際にお願いした内容は、半値幅の改造です。0.7→0.5の改造をお願いしました。「すぐ出来るよ!」ということで、8月にお願いしたのですが、いまだ届きません。10月に入って催促メールした際は、「晴れたら確認作業します」という返事でしたが、それから2週間経ちます。なかなか晴れないようですね・・・。
大きな黒点が出現していますね。Mクラスのフレアも発生しているようで。今のところ、なすすべ無しの状況です。