太陽撮影は、本来はお気楽撮影の部類に入るはずなのですが、なんでしょうこの暑さ。エアコンの効いた室内から撮影したいのですが、現在の設置環境では難しいので、汗を吹き出しながらの撮影になりました。町田市の天文家が太陽撮影中に熱中症になり・・・なんてニュースが流れるかもしれませんね。
さてさて、今回もPST改造望遠鏡での撮影です。口径が75mmなので強拡大向きではありませんが、15cmは彗星撮影用でスタンバっているし、Daystarは電源が必要なので、ついついお気楽な方向に流されてしまいます。
そんなPST改造望遠鏡ですが、総括としてこれまでの内容をまとめてみました。
(メリット)
・ 低コストで大口径化できるのが最大の魅力
PSTの海外での中古価格は、$500前後です。送料を入れても7万円あれば入手できます。
・ 手持ちの望遠鏡を利用できる
F10程度に絞りこめば、安いアクロマート望遠鏡でも転用できます。
・ PSTは電源が不要
DaystarのQuarkはたしかにコスパが良いのですが、電源が必要なんですよね。私の手持ちのIONも同様に電源が
必要です。ちょびっと波長をシフトさせるのも、数分程度待たされます。その点、こいつは、装着して微調整すれば
すぐに見ることができます。観望会でも余計な電源が不要なので、とっても便利。
・ 拡大撮影する分には、以外とコントラストが高い。
PSTの欠点として、彩層面のコントラストが低いというイメージがあると思います。半値幅が1Åという性能から仕方
がないと思っていたのですが、思ったよりコントラストは良かったです。個体差かもしれませんが・・・
さらには、プロミネンス撮影時のコントラストは非常に良いです。Daystarは、エタロン部で反射したゴーストが画面に
入り込むので、淡い対象を写す際はこのゴーストに被らないように構図をあれこれする必要があります。
PST改造望遠鏡は、このような問題が気になりません。
(デメリット)
・ PSTを分解しなければならない
当然ですがPSTを分解するので、その過程で様々な問題が発生します。最悪はPSTがお釈迦になるリスクも。
・ バックファーカスが200mm必要
市販望遠鏡を利用する際、問題となるのがこれでしょうか。ピント調整時の余裕も考えると、もう少し必要かも。
一番簡単な方法は鏡筒をぶった切ればよいのですが。まぁ、こんな作業も必要になります。
・ 広範囲の撮影には向かない
PST本来の焦点距離は400mm。これは、太陽の全面撮影にはもってこいです。口径を上げると、当然焦点距離も
長くなるので、小型のCCDでは一度で撮影できなくなります。また、ムラも結構激しいので、モザイク合成時の
繋ぎ目も結構目立ちます。PST改造望遠鏡は、ムラが気にならない範囲を拡大撮影するのに向いています。
・ 安全対策が自己責任
UV/IRなどの有害波長のカット。熱線からの機材保護など、ある程度の知識とそれらを対策するための追加部材
などが必要です。これらの処理をきちんと行わないと、深刻な問題を引き起こす可能性があるのが、一般的な
改造望遠鏡との違いです。実施する場合は、くれぐれも慎重な作業をお願い致します。
下の画像は、本日に西側に見えていた淡いプロミネンスです。拡大撮影+Gainを抑え気味にしたので、露光時間が300msecもかかりました。DaystraのIONで撮影すると、背景がかなり明るいので、コントラストを上げていくと背景ムラがかなり酷いことになります。PST改造望遠の目的は、ハイコントラストでプロミネンスを撮影することだったので、今回の画像を見て、とりあえず一安心しました。
BORG125SD(開口絞り75mm) + PSTエタロン+BF-10
Flea3 FL3-U3-32S2M
Autostakkert2, Registax6, PS
上の画像) 露出 20msec×30sec, スタック数 150frames×2picsモザイク合成
下の画像) 露出 300msec×60sec, スタック数 75frames, CEMAX-2x