2012年11月29日木曜日

ビクセン天体カレンダー 2013年 


以下、宣伝?なので・・・

2013年 ビクセン天体カレンダーが発売されました。
表紙を飾っているのは、私が撮影した今シーズンの「金星・火星・木星・土星」です。
  ※ 著作権はビクセン様に帰属しています

カレンダー用の写真で応募したのですが、結果は表紙に採用されました。2013年の始まりとともにめくられてしまうのが難点ですが、カレンダーの各販売サイトさんが、この画像で宣伝してくれるものと信じています。役不足だったらビクセンさん! ごめんなさい。

さて、今回は天体の配置に悩みました。惑星サイズの違いもあり、タテヨコの2個2個ではまったく面白みの無い画像になってしまいました。あれこれ悩んだ結果、斜めに配置してまとめることにしました。欠点は空きスペースが目立ち過ぎること。惑星名と記号などを入れて、多少なりとも穴埋めしてみました。失敗したのは、ガニメデに表記を入れなかったことです。衛星を消すのもなんなのでと思い残したのですが、名称を入れなかったので、中途半端になってしまいました。

最近は撮影数がめっきり減っているので、小ネタでしのいでいます。


2012年11月26日月曜日

ロンキーテスト その1


R.F.Royce製?と思われる、12.5"のダールカーカム望遠鏡鏡ですが、以前から、鏡の精度について、ずっと?に思っていたので、ロンキーテスターを使用してチェックしてみました。
テスターはドイツ製で、10本/mmのスリットが刻まれています。直輸入も検討したのですが、単価が安いので送料がばかにならないのと、初期トラブルを避けるためにTELESCOPPER.JPさんから購入しました。

テスト日はシーイングが悪かったのですが、カペラを視野に導入するとたくさんの縞模様が見えます。これが5本程度になるまでピント位置をずらしていくのですが、なぜか7本ぐらい見えた位置から先は、縞の判別が難しくなってきました。まぁそれなりに見えるので、この位置での画像をコンパクトカメラで撮影してみました。
F値が20なので、明暗対に対する曲がりの許容度は1/3ぐらい?ですが、鏡の外周部付近がかなりダレています。全体的に1/4程度の曲がりだと思います。

正直、この画像を見る限りあまり良い印象はないのですが・・・
結局、テストしても?は?のままです。


2012年11月16日金曜日

CMOSカメラについて


この画像は、木星をメタンバンド(889nm/半値幅18nm)と呼ばれる波長で撮影したものです。

 上:UI-3240CP-NIR(IDS社製)
 下:DMK-21AU618(IMAGINGSOURCE社製)

今回、IDS社の近赤外の特性を改善したCMOSカメラをお借りできたので、試してみました。比較用のDMKは、私が通常使用しているものです。

結論は見ての通りで、DMKの方に軍配が上がりました。
デジ一眼は、既にCMOSの撮像素子が主流ですが、惑星の動画撮影は今だにCCDの撮像素子が主流です。今回使用したUI-3240CP-NIRは、近赤外線域の感度を向上させた製品で、可視光域での量子効率が70%。メタンバンド付近でも30%近くあるので期待したのですが、残念な結果になってしまいました。
UI-3240CP-NIR
http://www.prolinx.co.jp/products/IDS/USB3.0_uEye_CP_datasheet/UI-3240CP-NIR.pdf

最大の問題点は、ノイズが大きいことです。ゲイン自体はまだ上げられましたが、ノイズだらけになるので、このぐらいが実用範囲内と思います。ノイズはCMOSカメラの宿命で、過去CMOSの撮像素子が主流になれなかったのでは、CCDと比較してノイズが大きいことが原因でした。それでも性能は日々向上し、一般撮影ではまったく問題のないレベルに達しています。低照度下での撮影は、まだCCDの方が有利そうですが、そう遠くないうちに、CMOSカメラが逆転する可能性もありそうです。

最後に、テストにご協力してくれた「株式会社 プロリンクス」様、ありがとうございました。



2012年11月9日金曜日

金星の撮影について


天文ガイドの12月号に、金星の写真が入選しました。入選した画像自体はサーバーのどこかに埋もれてしまい行方不明なので、片割れの元画像を載せておきます。

金星は、可視光で撮影するとほとんど模様は写りませんが、近紫外域で撮影すると、模様が写ります。金星のスーパーローテーションと呼ばれている4日で金星を1周する大気の循環も、近紫外画像の雲の動きから発見されました。この波長で写るのは金星大気の雲の表面で、そこに含まれる紫外線を吸収する物質の濃度差を表していると言われています。その物質が多いと、紫外線が吸収され、その場所は暗くなります。ただし、その物質の正体は確認できていないそうです。

今回撮影した画像は、下記のような方法で撮影しています。参考になればと思い、個人的な感想を含めて、メモ代わりに掲載しておきます。
ちなみに、もっとも基本となるUV域のフィルターには、Astrodon製のUVenusファイルターを使用しています。

① 光学系
  今回使用した光学系は、ダールカーカム式の30cm反射望遠鏡です。F20なので、今回の画像
  は、直焦点で撮影しました。近紫外線での撮影において、純反射系のみで撮影できるのは、
  メリットがあると考えています。今回撮影した波長は、中心波長で355nm(半値幅60nm)。
  この波長域は、レンズで構成する光学系においては、ほぼ設計外と思われます。
  バーローレンスの色収差の評価は、下記のリンク先でRB星さんが詳細に検証しています。
   http://homepage2.nifty.com/rb_star/barlow-01.htm

  個人的には、色収差の影響を受けにくい反射光学のみで撮影できたのが、解像度を高く
  できた要因と考えています。

② CCDカメラ


  当初はDMKで撮影したいましたが、上の画像を見てのとおり、画像処理を強めにすると欠け側
  にリング状の模様が発生しました。これを防ぐのに効果があったのが、PGR社のChameleonと
  呼ばれるCCDカメラです。このカメラで撮影するメリットは、A/D変換が12bitという点です。
  撮影時に"Ser"という形式を指定すると、16bitで保存することができます。4bit分は無駄で、
  フレームレートも下がりますが、擬似リングを抑えることができました。この方法は、木星や火星
  でも有効と思います。
   ※ 12bitA/Dに関係なく、カメラ自体の性能かもしれませんが・・・

 ③ ウエッジプリズムの使用
  大気補正で使用されているウエッジプリズムを使用しました。
  近紫外域においては、半値幅が60nm程度のフィルター使用でも大気差の影響は大きいです。
  計算上、6000mmの焦点距離において、高度35°の場合は、330nm-380nmの波長間のズレ
  は38μmとのことです。画素に換算すると、ほぼ10ピクセル。画素分解能が0.12秒/ピクセル
  なので、角度にして1秒近くずれることになります。この影響は大きいと思います。
  使用しているプリズムは、Edmound Optics製の偏角2°の製品です。BK7なので、350nm以下
  の波長は厳しいのですが、使用したほうが良い結果が得られると考えています。

個々の項目について、使用の有無による効果の比較をすれば、説得力があるコメントになったとの
ですが、そこは適当おじさんなので、思いつきをまとめて実行したらこうなりました・・・で終わって
います。


2012年11月7日水曜日

双望会の後始末 その1


撮影画像が細り気味なので、前々回の双望会レポート?で書き込んだもろもろの不具合につて、その後を書いてみたいと思います。

問題点の一つ、LosmadyのGM8の電源が入らない件は、電源SWの接触不良でした。半年ほど使用していなかったので、接点部分が酸化してしまったのかもしれません。安いSWを使っているのかもしれませんが、海外製品の電気回路は本当に脆いです。ちなみにLosmandy製品は、G11も使用していますが、モータドライブ関連は3回も壊れています。まず、購入後3ヶ月で起動時にエラー。その後、エンコーダが不良で交換。現在は、ギヤBOX保持するカバーが脱落。このカバーはプラスチック製で、なんと細いピンを融着処理で止めているだけでした。モータのねじれトルクの影響で、この部分が割れてしまい外れたようです。普通はネジで固定するでしょう! しかたがないので接着剤で固定しましたが、数ヶ月に一度はとれてしまいます。Losmady 残念。

SWは、代替えが見つかるまで、外したものを180°向きを変えて再ハンダしました。両接点だったので問題のない反対側を使用しました。反対側の接点部分にも、なにがしかのパターンが伸びていてましたが、よく分かりません(コンデンサの放電路?)。結果オーライ、SWをONにしたら無事にLEDが点灯しました。赤道儀でのテストは週末行う予定です。

次回は、あの望遠鏡についてです・・・多分。