2015年6月30日火曜日

オリジナルフィルターを作る

熱線カット用のKG3フィルターが届きました。直径25mm。これを31.7mmフィルター枠に挿入します。
でもこのフィルター枠、内径が26mmぐらいあるので25mmのフィルターは固定できません。なので、Filterの径を大きくする必要があります。最初はテープとかを巻いていたのですが、時間とともにずり落ちてくるので、今は金属ワッシャーを購入してそれをはめ込み、直径で27mmに仕上げています。ただ、ワッシャー自体の内径も25mmなので、そのままだとFilterに嵌まりません。一端に切り込みをいれて、内側に曲げてバネ構造にします。これをFilterに被せれば、バネの力で締め付けられて固定できます。それをFilter枠に入れて、付属のリングで締めれば完成です。テプラでシールを作って貼ると、いい感じに仕上がりました。部品の購入先は、下記にリンクしておきます。 ※ 天文ガイド2014年10月号と同じネタですが・・・

 ・ フリーワッシャー  ※ 追記:MISUMIは個人取引をしてくれませんので、ご注意を。← じろーさん情報です



2015年6月29日月曜日

ASI224MC?

誤報かもしれませんが、ASI120MMとかで有名なZWO社が、SONYの新しいCMOSセンサーを使用したカメラの試作を行っているようです。CMOSは、IMX224LQRまたはIMX225LQRのどちらが実装されているものと思われます。
 ・ IMX224LQR、IMX225LQR 3.75μmピクセル、1305x977画素、Colorのみ←残念

天文用として興味深いのは、チップ内蔵の最大ゲインが72dBもあります。それだけ低ノイズとのこと。また、赤外感度が非常に高い可能性があります。テストデータを見た範囲では、CH4(メタンバンド)の画像が信じられないレートせ撮影されていました。 ※ 嘘っぽい感じもしますが

 ・ ASI120MM  で撮影された土星のCH4画像
 ・ ASI224MC? で撮影された土星のCH4画像
 ・ 0.1secx3300 露光で撮影されたM57の画像
    ※ 撮影は16"-Dob? 英文なのでよく読んでいません・・・間違っていたらゴメンナサイ
 (追加)
 ・ 5secx187 露光で撮影されたM27の画像(25cmです)

確認した範囲ではColorチップしか無いのが残念ですが、ホントだったらCMOSセンサー恐るべしですね。


 

2015年6月26日金曜日

太陽望遠鏡の安全性について

Daystarfilter社のERF(前回UV/IRカットと書きましたがIRカットではありませんでした。<(_ _)>)

太陽望遠鏡で問われるのは、安全性です。我々が小中学生の頃(なんと40年前か~)は、天体望遠鏡を買うと必ずSUNグラスなる付属品が付いていて、これをアイピースにねじ込んで太陽をみていました。焦点部に直付けで、それ以外の減光方法は一切していませんでした。しかも、これがかなり柔で、見ているときに割れたことがあります。加熱が原因だと思いますが、突然目の前が真っ白になって驚いた経験があります。多くの方がこのような経験をしているようなので、当時は当たり前だったようですね。今から思えば、網膜が焦げなくて本当によかったです。今日では、安全性の問題から市販されていないようですが、結構デンジャラスな環境で太陽を見ていたんですね。
さてさて余計な思い出話は置いておいて、現在の太陽望遠鏡は、当時と比較すると安全面ではかなり強化されています。その分価格も桁違いに高くなっていますが、これは仕方が無いことですね。今回PSTを改造する上で、もっとも気になるのは安全面性について、机上ですが検証してみました。

① ERF(Energy rejection filter) ≠ UV/IRカットフィルター
Hα望遠鏡の基本的な構成では、望遠鏡の先端部にERFと呼ばれるフィルターを装着します。一部の機種、例えばDaystar社のQuarkフィルターは、口径80mm以下の場合はERFが不要とされています。メインフィルターに実装されているERFで耐えられる設計になっているのようです。でも、焦点面に近い位置に配置されるのですから、それなりのストレスが加わっているのは確かでしょう。さてこのERFですが、名前の通り太陽からのエネルギーを遮断する機能を持ちます。エネルギーの遮断というのも曖昧ですが、実際市販されているフィルターの特性は、製品によって性能が異なるのがわかりました。代表的なものは、Badder製のD-ERFとDaystarfiter社が販売している下記製品です。
 ・ Baader  D-ERF : 300付近-600nm及び700-1400nmの波長をカット
 ・ Daystar YG530 : 300付近-500nmの波長をカット
BaaderはHαの短波長側及び長波長側をカットしていますが、Daystarは短波長側のみカットしています。Daystarに確認したところ、これは正しいとのことでした。「太陽光エネルギーの大半は、500nm以下の波長成分が占めているとのことなので、これをカットすれば実用上問題無い」とのことでした(ホント?と思いましたが)。ERF後にも本体内蔵のフィルターがあるので、近赤外の光がそのまま網膜まで届くとは思っていませんが、Daystarの回答としては、「気になるようならアイピースにIRカッtフィルターを付けるといいよ!」とアドバイスしてくれました。 ※「漏れているのか!?」と思ってしまいます。
考え方ですが、DaystarのERFの考え方は、その後に配置するメインフィルタ-(エタロン)にダメージを与えない役割を想定しているものと考えられます。その点、Badderは近赤外側もカットしているので、人に対する安全面についても考量した設計になっているようです。ただし、1400nm以上の赤外線は通過するので、確実な保護になっているかは多少疑問が残ります。このように、ERFという名前で市販されているものは、必ずもUV/IRカットではないことを覚えておいてください。

② Coronadoのフロントエタロンフィルターについて
Coronado社やLunt社は、対物レンズ先端に装着するエタロンフィルターを販売しています。これらのフィルターは、先端分にERFが仕込まれているようですが、この特性を評価したデータがあるので、リンクしておきます。テスト対象は1世代前のSM60のようですが、見てのとおり近赤外側はカットされていないようです。長波長側は、後段のブロックフィルターでカットしているようです。 ※ グラフはOD値で表示されています。

③ ブロックフィルター

BF-15:アイピース側: Herzlich Willkommen auf der Astro-Filterseite
Coronadoのブロックフィルターは、2ユニットのフィルターで構成されています。対物レンズ側のフィルターがminERFになっていて、ここで600~700nm付近の光を透過させています。次段は狭小のブロックフィルターで、ここでHα光のみを抽出します。ここも注意が必要です。まず、対物レンズ側に配置されたフィルターは、長波長域は2500nm付近までブロックしますが、短波長側は350nm付近に通過域があります。つまり、このフィルター単体では紫外線をカットしきれていません。PST改造でこのブロックフィルターを使用する場合は、その前段部に400nm以下を確実にカットするフィルターを用意した方が無難です。また、接眼部側のフィルターは656nmのHα光付近のみを抽出するかなり鋭いフィルターですが、このフィルターは波長が750nm以降はまったくブロックしません。つまりは、全体構成できちんと透過波長を管理しないと、安全な太陽望遠鏡は構成できないことが理解していただけたと思います。
 ※ BF-15後段のフィルターのグラフは、750nm以下のデータが無いようです。

④ 結論
私が目指しているPST改造望遠鏡は口径150mmなので、対物レンズ前面にERFは必須です。これには現在使用しているERFをそのまま使用するつもりです。近赤外側はブロックされていないのですが、これはCoronadoのブロックフィルターでカバーするつもりです。なお、多少不安が残っているので、さらなる安全対策として次のフィルターを用意しました。
 ・ Shott社製 KG3 熱線カットフィルター  波長5μmの赤外線までをカット 
 ・ HOYA HA-30 熱線カットフィルター    ※ じろーさん情報

KG3フィルターを使用すれば、IR側は本家の太陽望遠鏡以上にブロックできます。欠点は、光学研磨がされていなので、表面精度があまり良くない点と、このフィルターが熱を吸収する作用でブロックするので、配置によっては冷却が必要な場合があります。現時点で私が考えているのは、31.7mm枠を付けてアイピース側に装着する予定なので、発熱の心配はほぼ無いと思います。100mm以下の小口径望遠鏡であれば、市販のUV/IRカットフィルターで代用可能と思います。でも、きちんと特性は確認してくださいね。大半のフィルターは、1500nm付近より波長の長いエリアを透過しますので。

長くなりました・・・今日は、これでおしまいです



2015年6月24日水曜日

6月24日(JST)の太陽

今朝は、台風一過のような雲ひとつ無い青空でした。それでも水蒸気が多いのか、柔らかめの日差しだったので、太陽撮影もさほど苦ではありませんでした。
さてこの日の太陽は、大きな黒点(2371群)以外は目立つ対象が無く、プロミネンスも目で見る分にはよかったのですが、撮影した結果はパッとしない絵になりました。ちなみに今回の画像は、いつもより拡大率を上げ撮影しています。前回は強拡大し過ぎで失敗しましたが、それでも大きな画像は迫力があるのが実感できたので、可能な限り拡大してみようと、4.4μmサイズのCCDで撮影しました。シーイングの影響でピント合わせが超難しかったのですが、小刻みに変動する画像の中にも、比較的解像度の高いイメージが見えたので、結果もそんなに悪くは無かったです。シーイングが良ければ、この拡大率でもいけそうかも。

話は変わりますが、PST改造で色々と調査しています。太陽望遠鏡の各段階での波長カット機能は、当初思っていたより複雑そうです。例えば、Daystarで使用しているYellow GlassのERFフィルターは、UV/IRの両方をカットしていると思っていたのですが、どうも着色ガラスのままのようで、UV側のみカットされているようです。つまり、IR側は垂れ流しの可能性があります。実際、集光側の焦点付近に手を当てると、そこそこ熱かったです。ってことは、天頂ミラーやPowermateにそこそこの熱負荷がかかっていたようですね。
PST改造では、このERFフィルターを利用してUV/IRカットを検討していたのですが、撮影はともかく眼視観測をする場合は、もう一工夫した方がよさそうです。

AP155EDF 155mm,F7 (ERF=150mm, Powermate 4x, f=4,350mm,  F29)
Daystar-ION (0.5Å), DMK51AU02(B/W) 50frames to stack x 5pics

2015年6月21日日曜日

Modify a PST (Stage0)

*** 注意 ********************************************************************************************************
以下の内容は、私の興味本位で行った改造内容について記載しています。太陽望遠鏡の改造は、
物理的な損傷以外に、身体にも大きな損傷を及ぼす恐れがあります。
また、メーカーの保証も受けられなくなります。
当然ですが、このような改造を行った結果で生じる損害については、責任は負えませのでご理解して
くださる方のみ、お読みくださるようお願い致します。
******************************************************************************************************************
ひょんなことからPSTを入手しました。でも、引き取り先の都合で行き場が無くなってしまい、ヤフオク行きを検討していました。でも心の中で「YOU、あれをやってみるよい機会ではないか・・・」と悪魔の声が。
で、やってしまいました。PSTを利用した、改造太陽望遠鏡です。実は海外では割と製作例があります。一般的な方法は、Stage1およびStage2と呼ばれていて、どちらもPSTのエタロンを利用して、口径をアップさせた望遠鏡を製作します。今回は、その予備段階として私が勝手に名づけたStage0改造について書いてみます。さらに、現在部品を手配しているので、最終的にはStage2へのステップアップを計画しています。
ちなみに、上の画像は改造PSTで撮影した全球面の画像です。1/2.8”のCCDでぎりぎり撮影できました。拡大レンズを未使用でもピントが出るので、撮影が楽になりました。モザイク合成の必要がないので、多少のムラがあっても、あまり気になりません。
では、工作時間です。 ※ 簡単ですよ
 材料
   ① PST太陽望遠鏡
   ② ウイリアムオプティクス製 フォーカサー
   ③ M52 UV/IRカットフィルター ※ 今回はLPS-P2を使用
   ④ ブロックフィルター ※ 今回はCoronadoのBF-10を使用
   ⑤ 延長筒 ※ バックフォーカスの調整用

  完成見本

まず、PSTの鏡筒をフォーカスブロックから外します。ネジを緩めるだけなのですが、機種によっては接着剤等で固定されているものがあるらしいです。私の個体は、ちょっと力を入れたら簡単に緩みました。筒の根元にある黒いハウジング内に、エタロンが収納されています。

外れたら、それをファーカサーにねじ込みます。ネジのサイズは不明ですが、フォーカサー側は2"のシュミカセネジで、これにきちんと勘合しました。

筒の先端に、UV/IRカットフィルターをセットします。M52サイズが装着できます。このフィルターは必ず透過特性を確認してください。UVやIR側に漏れがあると、目にダメージを与える可能性があります。今回の改造で、もっとも注意しなければならない点です。なお、今回はテストが目的なので手元にあったLPS-P2の光害カットフィルターを使用しました。当然Hαは透過域なので機能的に問題ありません。
また、構造上で注意するのは、フィルターを傾けることです。安全上は、きっかりネジを締める必要があるのですが、それだと視野内にゴーストが発生して太陽イメージと重なります。ここは工作者の工夫が必要な所なのですが、私は単純にゆるゆるに取りつけただけでした。結果、ゴーストは太陽から離れた位置に見えました。 ※ 安全上は問題あります。まねしないように。

接眼部には、CORONADOのBF-10を装着しました。接眼部で注意する点は、エタロンとBF-10の胴元までの距離です。先のエタロンのブロックには、コリメータレンズと再結像レンズが組みこれています。これは、エタロンへの光束をできるだけ平行光にするためです。その後に挿入されている再結像レンズはf=200mmで設計されているようなので、この距離を確保する必要があります。なお、BF-10の光路長を除くと、エタロン後方からBF-10までの距離は、下記のようになりました。
  ・ 接眼レンズ使用時:約145mm
  ・ 直焦点撮影時:約135mm
この距離と差を確保・調整できる構造が必要です。

これで完成です。
最大の問題点は、BF-10を使っていることでしょうか?PSTを買って、さらにこれを買うぐらいなら、最初からHαフィルター+BF-10でセット購入すればよいだけのことなので。
今回の改造は、あくまでもこの先に進めるためのデータを取るのが目的なので、ご勘弁を。
なお、工作が得意な方はBF-10ではなく、外したフィルターボックスに装着されているBF-5を利用するのが良いと思います。そうすれば、正真正銘のPST改造望遠鏡に仕上がります。

ではでは、次回の改造報告は7月中旬ごろになるでしょうか? 

2015年6月20日土曜日

6月20日の太陽

久々に、爽やかな朝を迎えることができました。週末だったことも幸いし、朝から色々と評価することができました。でも久々の撮影なのか、しょうもない失敗をしてしまいました。以下、その顛末です。

2371群が比較的大きめの黒点に成長していたので、根性入れて15cmを引っ張りだしました。最近は腰が痛いので6cmで楽していたのですが、久々の出動です。さてさてどんなもんだと太陽を眺めてみると、いきなりでかいプロミネンスが見えます。ついで2371群を導入しましたが、これまたでかい。よしよし、これは撮影し甲斐があるということで、カメラをセットしてモニターを見てみると、やっぱりでかい!! 画面いっぱいにプロミネンスが映るではありませんか。でも、ピントを合わせようと画面を拡大すると、ガッカリ。シーイングでゆらゆらです。ピント位置がよくわからず、行ったり来たりするも途中であきらめて撮影開始しました。プロミネンスを撮影して黒点周辺を撮影したのですが、干渉リングがなぜかバリバリ。こんなに酷かったっけ? と思いながらも、思考停止状態でだらだら撮影し続けました。
午後から会社に出勤して、仕事しながら画像処理。 ※ 正確には、画像処理の合間にお仕事ですが
で、気づきました。撮影用のCCDが間違っていたことに!!いつもはASI174で撮影していたのですが、この日は6cmで使用しているFlea3を使ってしまいました。CCDのピクセルサイズが、ASI174の5.86μmに対しFlea3は2.5μmです。大雑把に言えばいつもの倍以上の拡大率で撮影していました。プロミネンスも黒点の2倍・2倍。面積で4倍以上ですから、大きかったわけです。色々と処理をしたのですが、画像がでかすぎて半ボケ気味になり、どうにも改善できません。途中でめんどくさくなったので、処理終了。モザイク合成もとりやめました。
せっかく晴れたのに残念(+_+)です。


AP155EDF 155mm,F7 (ERF=150mm, Powermate 4x, f=4,350mm,  F29)
Daystar-ION (0.5Å), FL3-U3-32S2M-CS(B/W)

2015年6月8日月曜日

6/7(JST)の太陽

とりあえず、赤道付近だけです。
小さい黒点がたくさん見えるようになりましたが、プロミンネンスは小さいものばかりでした。

2015年6月5日金曜日

Lovejoy彗星と北極星その2 5/27


5/26の翌日も撮影しに行ってました。でも平日連チャンは流石にきつく、翌28日は会社で半ボケ状態でした。我がことながら、会社の先行きを心配してしまう今日この頃です。

前日はBorg125SDで撮影しましたが、やはりFが暗いので、この日はレデューサ無しのVSDで撮影しました。背景に分子雲が浮き出るぐらいまで処理を強くしています。見てのとおり元画像は分子雲だらけで、ムラと混ざってグチャグチャでした。でも、彗星の尾が以外と伸びているのが見て取れます。この時北極星と彗星の離隔は1.1°ぐらいなので、尾は0.5°ぐらいありそうですね。
Lovejoy彗星はしばらく、北天を移動するのでほぼ一晩中観察できます。次回、6月の新月頃に撮影する予定です。 
 ※ 晴れないかな・・・


撮影時刻 2015/5/28 1:18~
撮影地 富士見高原
Vixen VSD100(F3.8)、SONYα7S ISO3200, 30sec x 58pics
DSS(Comet/Star Stacking)+Pixinsght+Photoshopで処理