WinJUPOSというソフトがあります。撮影もしくはスケッチなどの画像データから、模様の緯度経度などを測定する目的で開発されたソフトです。しかし、色々な機能が追加され続けていて、昨年あたりからは、高解像度画像を作成するのに有効な、De-rotation機能が追加されました。海外の画像を見ると、この機能を使用して、20分に及ぶ画像をスタックしている方もいます。
天気も悪く、出張ばっかりでネタが無いので、簡単ですが使い方を掲載します。
今回は、基礎編として画像の読み込み方と、上記画像のような惑星の展開図(MAP機能)の作成方法を説明します。
※ 昨年の8月に撮影した画像を4枚使用して、作成した展開図です。
1- WinJUPOSの初期画面
WinJUPOSを立ち上げ、まず最初にメニューのProgram - Celestial bodyで
処理する惑星を選択します。
※今回はJupiter
2- 画像の読み込み
メニューのRecording - Image measurementを選択すると、画像の取り込み
Windowが開きます。
最初に、Imag.タブのOpen imageボタン(①)を押して画像を選択します。
事前に、画像の向きを南北に合わせる必要はありません。
次に、撮影日時・時間を設定します。(②) 時刻は、
世界時(UT)のみです。また、秒の設定はありません。
0.1分刻みの設定なので、注意してください。
惑星の場合、1~2分程度の動画をスタックしているの
で、撮影時刻に幅があります。通常は、撮影時の中央の
時刻を設定するのがルールです。
3- 画像のOutlineの計測と保存
ここでは、撮影された木星画像の外形サイズなどを計測
し、結果を保存します。ここでの測定結果が、WinJUPOS
の大半の機能に使われます。
まず、Adj.タブ(③)を選択してOutline frameボタン
(④)を押すと、メニューリストが出てきます。
最初にある、Automatic detectionを実行すると、
木星の外形を表す、白い円が木星画像のサイズに
合わせてきれいに重なるはずです。ここで
注意するのは、南北方向が間違っていないかです。
Nのマークが北ですが、画像の初期位置によっては、
南北を逆に設定することがよくあります。違う場合は、
手動で補正します。
手動操作は、次のとおりです。
[↑]、[↓] キーで、枠は上下に移動
[←]、[→] キーで、枠は左右に移動
[N]、[P] キーで、枠は左右に回転
[PageUP]、[PageDN] キーで、枠が拡大・縮小
上記キー+[Ctrl] キーで操作量が大
上記キー+[Shift] キーで操作量が少
通常、南北が失敗した場合は、[P] or [N]キーで
枠を回転させて、Nのマークを北半球まで移動させます。
そこで、再度Automatic detectionを実行すれば、
南北は正しく合うはずです。最初に、軽く合わせて
おくと一発で決まります。なお、木星以外の惑星は,
このAutomatic detectionは選択できません。土星の
場合は、リングを利用し、火星や金星は満ち欠け
を利用して、手動で合わせこみます。
これで、Outlineの計測は完了です。再びImag.タブを選択し、Saveボタンを押して結果を保存して下さい。生成されたファイルは、拡張子が".ims"になります。ちなみに、Loadボタンを押すとimsファイルを読み込むこともできます。
4- Mapを作成する
メニュー画面で、Analisys - Map computationを選択すると、新たにWindowが
開きます。まず最初に、右上のExit - Addを選択して、先ほど作成したims
ファイルを読み込みます。
次に、Listの下にある、Map Fileで保存先を指定して、Compile mapボタンを
押すと、展開図が作成され表示されます。 簡単でしょ!
今回の例は、画像が1枚だけなので、展開図は一部のみになります。全周の
展開図を作成する場合は、位相の異なる画像を最低でも3枚は用意して、同じ
ようにimsファイルを作成し、まとめて処理します。
注意したいのは、読み込んだ直後は、各画像の表示範囲は全て0~360°に
なっています。このままだと、複数の画像を読み込んでも表示範囲が、重なる
ため全周の展開図になりません。各画像の表示範囲は、Listの項目にある
”From L”と”To L”で設定できます。各画像のどの範囲を表示させるかは、
画質等を見て判断してください。
Map作成画面では、極から見た展開図を作成する機能もあります。先頭の
見本画像には、この画像も載せています。
作成するには、Projection typeの枠内にある、Polar projectionを選択します。
後は、展開図と同じ要領です。
最初は、メニュの多さに腰が引けそうになりますが、使用してみると、そんなに難しいソフトではないことが実感できると
思います。 WInJUPOSの大半の機能は、今回作成したimsファイルを元に処理されます。このフィアルが出来れば、
作業の70%は完了したと思ってOKです。
次回は、De-rotation機能について書いてみます。
ではでは・・・