2013年12月16日月曜日

12月15日(JST)のLovejoy彗星


EOS60Da、EF200mm(F2.8開放)、ISO1600、1.5min☓8枚

12月15日に撮影したLovejoy彗星です。この日はふたご座流星群ということで、21時過ぎから流星観測していました。その後、明け方にかけて彗星を撮影しました。流星もそこそこ写りましたが、処理が簡単な彗星を先にアップします。
高度も低くなり、光害の影響もあって尾の淡い部分が思ったよりでませんでした。フラットも完全に取り切れていないので、これ以上やると、変なものがいっぱい浮き出てきます。次回は、12月後半でしょうか?



2013年12月14日土曜日

馬頭星雲


Lovejoy彗星を撮影しに行きましたが、彗星が撮影できる頃は曇り空になり結局ダメでした。彗星待ちの間に、撮影したした、馬頭星雲をアップします。
光害カットでCLS Filterを使用していますが、R付近の分高感度特性が、Hα近傍のごく狭い範囲に絞ってあるので、GBに比べてヒストグラムが極端に左にずれます。今まではあまり気にしなかったのですが、カラーバランスを整えようとすると、R画像が極端に強調されてしまいます。パッと見には、Hαが良く写っている画像になるのですが、全体のバランスはあまり良くありません。ノーフィルターもなんなのです、次回は、以前使用したLPS-P2を試してみる予定です。

(12/15 追記)
ヨネヤンさんのアドバイスを元に、少し黄色みを追加してみました。やればできるものですね。 いかがでしょうか? 
と思ったら、会社のモニタで見ると、星雲が真っ赤です。少し微調整しました。やはり、カラーバランスは難しい。



2013年12月2日月曜日

11月30日のLovejoy彗星(C/2013 R1)


BORG125SD(F6)直焦点、Eos60Da+CLSフィルター、ISO800
5min☓12枚、PHD Guidingによる彗星核での自動ガイド、ガリバーにて撮影

彗星に踊らされた11月でした。Lovejoy彗星が予想よりも明るく、ISON彗星が予想よりも暗かったので、結局はLovejoy彗星ばかりの撮影になりました。
それにしてもISON彗星は残念でしたね。近日点通過後の状況は不明ですが、大彗星になる可能性はほぼゼロのようなので、高度が十分高くなる月半ばに残骸でも撮影できれば良し! と思っています。
さて、この画像は、11月30日に撮影したLovejoy彗星です。尾が思いのほか淡く、通常の撮影だとなかなか細かい構造が写りません。125mmのF6を使用して、11月中旬から3回目のトライで、どうにかお見せできるものが撮影できました。ちなみに、彗星の核でガイドしています。
尾の後半は淡いので、光害と若干の月明かりの影響でコントラストが得られません。いつもの無理やり処理で、多少ザラザラになってしまいましたが、真っ直ぐ伸びるイオンの尾が確認できました。
水曜日から、また中国です。週末は、ISON彗星のなれの果てが、見られるかもしれませんね。それはそれで、楽しみな天体ショーです。

2013年11月16日土曜日

彗星見えず! 代わりにM42


BORG125SD(F6)直焦点、Eos60Da+CLSフィルター、ISO800
8min☓6枚、2min☓6枚、30秒☓2枚
PHD Guidingによる自動ガイド、ガリバーにて撮影

中国南京から帰国しました。でも、来週月曜日からまた出張です。ISONの近日点通過まで続くので、かなりやばいですね。
実は、出発日の前夜、無謀にも彗星を撮影しに行きました。最近よく行く、朝霧高原のガリバー跡地です。視界・光害もまぁまぁで、伊豆方面に雲が多い時でも、ここらは結構晴れています。23:00ぐらいに到着したんですが、すでに先客が4組ほどいらっしゃいました。平日なのになんなんでしょうね? 西には月が明るく輝いていましたが、みなさん撮影している様子。端っこに止めて、あたふた準備をはじめました。
今回は、3年ぶりぐらいの直焦点撮影。EQ6赤道儀を買ったので、Boer125SDを持ちだして撮影にのぞみました。で、最初は自動ガイドのテストも兼ねて、M42を撮影してみました。PHD Guidingというフリーのソフトで自動ガイドをしましたが、実に調子が良いです。結局、8min☓6枚、2min☓6枚の計1時間分の撮影をしました。本当は、2時間以上撮影したいんですが、彗星が目的なので、ここで切り上げ。Lovejoyはかなり明るくなっていて、5cmの双眼鏡でも尾が淡く見えるようになりました。場所を確認して、望遠鏡を向けるとファインダーに光芒が。よし!と思い、Borgの位置を補正しようと一度空を見上げると、なんとも巨大な雲が流れてくるのに気づきました。5分ぐらいで、東天は全滅。30分も経つと、全天が雲で覆われて、The End。それから、朝方の4時まで粘りましたが、天候が回復することはなく、諦めて帰路につきました。帰宅して、2時間ほど仮眠をした後、羽田に向かいました。ちゃんちゃんです。

結局、彗星は撮影できなかったので、最初に撮影したM42をアップしておきます。60分程度の撮影なので、M42の周辺を淡い部分はかなりノイジーです。

※ ISONアウトバーストで増光中。11/16現在、4等星前後。なんてこった!

2013年11月9日土曜日

コーン星雲からバラ星雲にかけて


11月5日(JST) ガリバー
EOS60Da、EF135mm F2.0(F3.2)+CLSフィルター
ISO 800、露出300sec×24コマ
SKYMEMO-Rによる自動追尾

久々の星空写真です。去年も撮影したバラ星雲付近の散光星雲です。
背景の星とかマスクすれば、もう少し星雲を強調できると思いますが、へたれなので、ここまでやって、疲れてしまいました。  冬場になると、シーイングの影響もあり撮影が増えます。ホントは、夏場も撮影したかったのですが、結局一枚も撮りませんでした。冬は寒いのに・・・
ぼちぼちアップしていきます。


2013年11月8日金曜日

DeepSkyStakerのComet Stackingの機能

    C/2013 R1 (Lovejoy)  2min x 8pics

IOSN彗星がもうすぐ近日点です。そんな中、Lovejoy彗星が一足早く肉眼彗星になりそうで、晩秋の夜空は彗星の共演で賑やかです。彗星を撮影すると、その後のコンポジット作業が意外と手間がかかります。面倒くさいな~と思っている方には、DeepSkyStaker(以下DSS)をお薦めします。
元々は、撮影した画像をお気楽でコンポジット合成してくれるフリーのアプリですが、合成モードの一つに、「Comet Stacking」機能があります。これがまた優秀で、通常彗星の合成は、核の移動に合わせてスタックしていくので、星は流れてしまいます。しかし、DSSの合成は、星と彗星を別々に処理して合成してくれます。なので、出来た画像は、星も彗星も流れていません。 素晴らしい!


使い方のポイントだけここに書いておきます。 ※ ごめんなさい

  ・ 画面左下の「Setting」を押して「Stacking Setting」を選択します。
  ・ Stacking Parameters画面のタブに「Comet」があるので選択し、合成方法を選択します。(下の画像)
  ・ 画像を読み込むと、画面右にモード選択のアイコンが出てくるので、3番目の「Edit Comet Mode」を選択します。
  ・ DSSでは、彗星の位置を自動認識はしません。彗星の位置を手動で設定していきます。
    彗星の近くにカーソルを置けば、設定用の枠が表示されるので、微調整してクリックしてください。赤丸が表示
    されて、彗星位置が登録されます。設定を間違えた場合、再度クッリクすると登録が解除されます。
    (2013/11/09 追記)
    彗星の画像が貧弱だったり、または明るすぎると位置登録がうまくできない場合があります。そのような時は、
    シフトキーを押しながらクリックすると、強制的にその位置を彗星の中心とすることができます。
    また、デジタルカメラでの撮影などで、日付・時刻情報が記録されている画像の場合、最初のフレームと最後の
    フレームの、2点だけ指定すれば、残りの画像の彗星の位置を自動で計算してくれる機能もあるようです。 
     ※ 試してはいませんが


ではでは、ISON彗星の大化けを期待しましょう!!


2013年11月5日火曜日

ラブ!joy ! 彗星が明るい (C/2013 R1 : Lovejoy)


Lovejoy彗星が明るいです。
昨晩、ガリバーの駐車場で彗星を見てきました。誰かいるのでは思いましたが、さすがにそのまま出勤になるので、誰もいません。でも、空は雲一つない快晴。じっくり彗星を見ることができました。
世間は、ISON彗星で話題が持ちきりですが、今朝のISONは光度で8等級ぐらい。大型双眼鏡を忘れてしまい、5cmの双眼鏡で確認しましたが、光害の影響もあり、どうにかこうにか見える程度。三脚に固定して、じっくり観察すると、わずかに尾が確認できましたが、もっと大きな機材でないと楽しめません。見て楽しめるのは、11月中旬以降でしょうか?
これに対し、Lovejoy彗星は想像以上に明るかったです。5cm双眼鏡を予報位置に向けると、難なく見つかりました。大きく広がったコマは明るく、全光度はすでに肉眼等級に達しているものと思います。尾は淡く、うっすらとしか見えませんでしたが、11月後半に地球に0.4AUまで接近し、尾の長さが20°を超える可能性があります。ISON彗星に気を取られていると、見逃す可能性があるので、要注意。

写真も載せておきます。JPG1枚の簡易処理なので、画質はご勘弁を・・・

2013年11月4日月曜日

WinJUPOSを使ってみよう (De-rotation編3)

少し間が空きました。ごめんなさい。さて、今回で終わるでしょうか?

2:De-rotation of R/G/B Frames


この機能は、RGB・LRGB合成時の模様のズレを補正します。LRGB合成は、近年、惑星撮像の主流です。これは使えそうと思うかもしれませんが、残念ながらこの機能はかなり限定的です。つなみに処理できるのは、次のとおりです。

 ・ R/G/Bフィルターで個別に撮影された画像による、RGB合成。
 ・ L/R/G/Bフィルターで個別に撮影された画像による、LRGB合成。

多くの方が行っている、L画像+カラーCCD画像によるLRGB合成はサポートしていません。カラー画像をR/G/Bに分解してimsファイルを作成すれば、処理は可能ですが、手間がかかるので、あんまりやる意味ないでしょう。あえて行うとすれば、天候等でL画像とカラー画像の撮影時間に間が合いた場合は、有効かもしれません。
ちなみに、使い方は簡単です。LRGBの各画像をimsフィアルにして、読みこむだけです。Red/Green/Blue Channel、さらに、Luminescenceにimsファイルを割り当てれば、RGBまたはLRGB画像が得られます。
ちなみに、私はフィルターワークでL/R/G/Bを撮影しているので、この機能が必須です。

3:De-rotation of video streams


さて、最後にクセモノの登場です。
ある意味、この機能が基本のような気がしますが、これがなかなか思った様にいきません。
まず、この機能の基本は、撮影した動画の各フレームの模様を移動して、動画を再構成することです。動画をoutputするので、以降はRegistaxなど、従来と同じ処理をすることができます。
また、経緯台で撮影した画像に発生する、視野内回転も補正可能なので、そのような撮影スタイルの方には、有効かもしれません。
では、処理の手順を書いてみます。

 ・ 撮影した動画から一度スタック画像を作成します。これは、いつもようにimsファイルを作成するための作業です。
   使用する動画は、撮影条件が同じものであれば、別のものでも構いません。できれば、長時間撮影する前に、
   60秒程度の動画を撮影しておくことをお薦めします。

 ・ スタックした画像から、imsファイルを作成します。

 ・ 設定が必要な項目を列記します。
    Original video : 処理したい動画(avi、ser)
    start time of video(UT)、end time of video : 撮影の開始時間と終了時間。 ※ 中間時刻に合わせこみます。
    Image measurement of a preliminary image from the original video : 先のimsファイルを指定
    Compensation of field rotation in altitude over azimut mounts : 経緯台で撮影した画像の視野内回転の補正
    Output "Stacked image" : WinJUPOSでスタックした画像を出力。
    Output "Corrected video" : WinJUPOSで補正した動画を出力。

 ・ Start De-rotation of video stream : 変換を開始します。

以上です。
それでは、処理した画像を見てみましょう。左上から順に、次の処理をしています。

 1: Autostakkert2(Single) + Registax6
 2: Autostakkert2(Multi)  + Registax6
 3: WinJUPOS(stack)   + Registax6
 4: WinJUPOS(video) + Autostakkert2(Multi) + Registax6

撮影時間は4minのser動画です。"avi"は2Gbyte以上の動画を取り扱えない場合が多いので、元動画は"ser"形式で保存することをお薦めします。なにせ4minでも5.6Gbyteのサイズです。目的からすると、動画の時間は10min以上が良いのですが、それだと10Gbyteを超えてしまいます。
まずこの中で、解像度が一番悪いのが3番めのWinJUPOSでスタックした画像です。それ以外の3枚は、見ての通りあまり差がありませんでした。あえて違いがあるとすれば、4番のリム付近の模様がややはっきりしているかな?ぐらいです。こうして見てみると、4min程度の動画であれば、通常の処理でも違和感なく仕上がるがわかります。また、動画の変換処理だけで10分以上かかりました。


次はメタンバンドで試してみます。まず、変換後のAviファイルですが、なぜか階調が反転しています。録画時のレベルが50%付近なのが影響したかもしれませんが、理由は分かりません。とりあえず、VirtualDubを使って、階調反転した動画を作成しました。 ※ 右の画像


次に、変換した動画を覗いてみると、こんなフレームになっています。撮影時間は15minです。大赤斑付近のリムを見ると、WinJUPOSの処理で不自然な模様が見えます。


この画像を、処理した結果が下の画像です。15minの動画を、そのままAutostakkert2で処理した画像も載せておきました。模様がもっとも見えるのは、3番目の画像ですが、リム付近の不自然な模様を追いかけてしまうので、見栄えに耐える画像にはなりませんでした。スタックをシングルにしてみたのが2番目です。リム付近は平均化されて、ほとんど目立たなくなりましたが、WinJUPOSを使用しない処理結果と、あまり差がありません。
このように、WinJUPOSを使えば、劇的に画像が良くなるわけではないことが分かると思います。


最後に・・・
長時間撮像による動画処理の方法として、WinJUPOSをご紹介しました。みなさんの感想は、思ったより効果が無いな! という感想だと思います。好シーイングの画像で試せば、もう少し違った結果になったかもしれません。
最後に、11月1日のメタンバンド(CH4)画像の結果を貼り付けておきます。
シーイングは、4/10ぐらいでしょうか。連続して撮影した2min x 8画像と、中央時刻に近い2minの画像を並べてみました。この画像は、Registax6での強調処理が異なります。当然、2minx8の方が、強めのパラメータです。
ノイズが減ることで、強い処理に耐えらる画像になります。好シーイングであれば、詳細な模様が得られた思います。
ではでは、ここで一区切りとさせて頂きます。


2013年11月2日土曜日

11月2日(JST)の木星


今朝の木星です。濃い2本のベルトはしっかり見えるのですが、細かい部分がまったく見えず、ピント合わせに苦労しました。それでも、処理後の画像は思ったより良かったです。
ちなみに、LRGBのLは、2min☓5pics。メタン(CH4)は、2min☓8picsです。WinJUPOSで合成しています。

2013年10月28日月曜日

WinJUPOSを使ってみよう (De-rotation編2)


今回は、実際にDe-rotation機能を使用してみます。
前回の説明で、3つの補正機能があると言いましたが、最初に、"De-rotation of images"の説明をします。

1:De-rotation of images



この補正は、複数の時刻に撮影された画像を、位置補正をしてコンポジットします。操作は簡単で、説明と言っても、実はあまりやることはありません。前々回で説明した方法で、処理したい画像のimsファイルを作成しておけば、1分もかからないでコンポジットができます。 手順は、次のとおりです。

2013-11-07 追記)-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 コンポジットする前の画像ですが、wavlet等処理前の画像?か、処理後の画像か?という質問がありました。
 どちらでも似たような画像になりますが、手間で考えると、次の手順が一般的だと思います。
  ① 複数のスタック画像(強調処理前)を用意
  ② imsファイルを作成
  ③ WinJUPOSでコンポジット
  ④ 処理された画像を、Registax等で強調処理。
 この手順であれば、強調処理は1回で済みます。また、ノイズの少ない画像で、強めの処理もできます。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 ・ コンポジットしたいimsファイルを、複数用意します。用意するimsファイルは、サイズや撮影時の天体の傾き等を
     気にする必要はありません。imsファイル作成時の情報からこれらを計算し、自動補正してくれます。

 ・ 画面右の[Edit]ボタンをおしてAddを選択すると、imsファイルの選択画面が開くので、まとめて選択してください。

 ・ 選択されたImsファイルが、Listに表示されます。Listの項目には、Ganma、LD Valueの設定があります。
   Ganm設定は、通常は1.00でOKです。LD Valueは、リム付近の輝度を操作するのに使用します。
   効果は、次回説明します。

 ・ 次に、保存先やコメント、画像サイズなどを設定します。また、生成される画像の南北も設定できます。
   日本では、眼視観測を考慮して、南を上で表示するのが一般的なので、South at top側を選択します。

 ・ 設定が完了したら、中央右にある、[Compile image (F12)]ボタンを押してください。処理が開始し、生成された
  画像が表示されます。 これでおしまいです。簡単でしょ!!


De-rotation機能を使用して画質を向上させる場合は、できるだけ撮影時間が長い方が有利です。個人的な感想ですが、10~15分ぐらいで試してみると、効果が確認しやすいです。また、最初はシーイング条件が良い日の画像で、テストしてみることをおすすめします。

最後に、先日撮影した画像での結果を載せておきます。
下記は、2分間のL画像を1枚だけ処理した場合と、De-rotation機能で4枚スタック(計8分)した画像です。
やや強めのWavlet処理で、ノイズを目立つようにしていますが、当然、重ねた方が画質が良好です。しかし、この程度の差とも言えます。
また、WinJUPOSでの合成はリムに不自然なリングが発生します。当然、自転とともに見え隠れするエリアなので、出て当たりまえです。多少なりとも後処理を楽にするには、前記したLD Valueを調整します。ちなみに、今回の画像は、全てLD Value=0.8で処理しています。


では、WinJUPOSを使用しないでスタックした場合はどうでしょう? 下記がその結果です。
Photoshopを使用し、差の絶対値で模様のズレを確認した後、スタックしています。
いかがですか? あまり差が無いような・・・ でも、リム付近の解像度はWinJUPOSがやや勝っています。それ以上に、重ね合わせる手間が、まったく違います。
RB星さんは、昔から複数の動画を処理してスタックし、高解像度の画像を得ています。Registaxなどのスタックソフトは、模様を追いかけるので、長時間撮影でも意外と模様が重なります。ただし、移動に伴う、位置精度がいつも議論になっていました。WinJUPOSは、元々位置測定用のソフトなので、そのあたりは十分考慮されていると思います。
長くなってきたので、残りは次回にします。  ・・・・なかなか終わらない。




2013年10月23日水曜日

WinJUPOSを使ってみよう (De-rotation編1)


今回は、WinJUPOSのDe-rotation機能について、説明します。
ここまで引っ張って言うのもなんですが、この機能を使用すれば、一気に画質が向上すると思っていると、かなりがっかりします。この機能が真価を発揮するのは、シーイングが良好な時の画像だけです。
 ※ 個人的な意見です。人によっては効果があるかも・・・
ただし、私のように、フィルターワークでL・R・G・B合成をしている方は、必須と言ってもよいでしょう。
さて、前置きは、このくらいにして、本文に入ります。

WinJUPOSのDe-rotationとは、自転に伴う表面模様の移動を計算し、特定時刻の位置までシフトさせる機能です。木星や土星などは自転速度が速いので、撮影して間にどんどん模様は動いていきます。このため、撮影時間を1~2分で制限するのがセオリーなのですが、この制限を無くす方法のとして考案されたのが、この機能です。
自転に伴う模様の移動は計算できるので、撮影時刻の違いでずれ量を計算し、画素をシフトさせて、画像を重ねます。これにより、長時間撮影された個々の画像を、精度よく重ねることができるようになりました。当然、スタック可能なフレーム数が増えるので、ノイズが減少し、強い画像処理が可能になります。






※ 木星などの模様は、リムと中央(CM)で見た目の移動量が変わります。したがって、時間差のある画像を、平行移動
   しただけでは、完全に重なりません。

WinJUPOSでは目的に応じて、下記の3つの補正機能が用意されています。

① De-rotation of images
   複数の画像をコンポジットします。高解像度のL画像を作成する時などに有効です。 
   複数画像の撮影時刻から、その中間時刻の位置に、模様を合わせこみます。

② De-rotation of R/G/Bfrmaes
   RGBまたは、LRGB画像を合成します。私が、通常使用している機能です。 
   RGB合成では、撮影時刻の中間時刻に模様を合わせこみます。
   LRGB合成では、L画像の中間時刻に模様を合わせこみます。

③ De-rotation of video strems
   撮影された動画の各フレームに対して、模様の補正を行います。結果は、aviまたはserの動画として保存されます。
   または、スタック処理をして、pngファイルとして保存することもできます。 
   ※ ER34さんへ:スタック機能があるのを忘れていました。でも、ほとんど使ったことはありません。
   
眠いので、今日はここまでにします。次回は、上記機能の説明です。
ではでは
  
   

2013年10月20日日曜日

WinJUPOSを使ってみよう (基礎編)



WinJUPOSというソフトがあります。撮影もしくはスケッチなどの画像データから、模様の緯度経度などを測定する目的で開発されたソフトです。しかし、色々な機能が追加され続けていて、昨年あたりからは、高解像度画像を作成するのに有効な、De-rotation機能が追加されました。海外の画像を見ると、この機能を使用して、20分に及ぶ画像をスタックしている方もいます。
天気も悪く、出張ばっかりでネタが無いので、簡単ですが使い方を掲載します。
今回は、基礎編として画像の読み込み方と、上記画像のような惑星の展開図(MAP機能)の作成方法を説明します。
 ※ 昨年の8月に撮影した画像を4枚使用して、作成した展開図です。

1- WinJUPOSの初期画面
  WinJUPOSを立ち上げ、まず最初にメニューのProgram - Celestial bodyで
  処理する惑星を選択します。
      ※今回はJupiter






2- 画像の読み込み
  メニューのRecording - Image measurementを選択すると、画像の取り込み
  Windowが開きます。
  
  最初に、Imag.タブのOpen imageボタン(①)を押して画像を選択します。 
  事前に、画像の向きを南北に合わせる必要はありません。
  
  次に、撮影日時・時間を設定します。(②) 時刻は、
  世界時(UT)のみです。また、秒の設定はありません。
  0.1分刻みの設定なので、注意してください。
  惑星の場合、1~2分程度の動画をスタックしているの
  で、撮影時刻に幅があります。通常は、撮影時の中央の
  時刻を設定するのがルールです。


3- 画像のOutlineの計測と保存
  ここでは、撮影された木星画像の外形サイズなどを計測
  し、結果を保存します。ここでの測定結果が、WinJUPOS
  の大半の機能に使われます。
  まず、Adj.タブ(③)を選択してOutline frameボタン
  (④)を押すと、メニューリストが出てきます。
  最初にある、Automatic detectionを実行すると、
  木星の外形を表す、白い円が木星画像のサイズに
  合わせてきれいに重なるはずです。ここで
  注意するのは、南北方向が間違っていないかです。
  Nのマークが北ですが、画像の初期位置によっては、
  南北を逆に設定することがよくあります。違う場合は、
  手動で補正します。
  手動操作は、次のとおりです。

   [↑]、[↓] キーで、枠は上下に移動 
    [←]、[→] キーで、枠は左右に移動 
    [N]、[P] キーで、枠は左右に回転 
    [PageUP]、[PageDN] キーで、枠が拡大・縮小
   上記キー+[Ctrl] キーで操作量が大
   上記キー+[Shift] キーで操作量が少

  通常、南北が失敗した場合は、[P] or [N]キーで
  枠を回転させて、Nのマークを北半球まで移動させます。
  そこで、再度Automatic detectionを実行すれば、
  南北は正しく合うはずです。最初に、軽く合わせて
  おくと一発で決まります。なお、木星以外の惑星は,
  このAutomatic detectionは選択できません。土星の
  場合は、リングを利用し、火星や金星は満ち欠け
  を利用して、手動で合わせこみます。

これで、Outlineの計測は完了です。再びImag.タブを選択し、Saveボタンを押して結果を保存して下さい。生成されたファイルは、拡張子が".ims"になります。ちなみに、Loadボタンを押すとimsファイルを読み込むこともできます。

4- Mapを作成する
  メニュー画面で、Analisys - Map computationを選択すると、新たにWindowが
  開きます。まず最初に、右上のExit - Addを選択して、先ほど作成したims
  ファイルを読み込みます。
  次に、Listの下にある、Map Fileで保存先を指定して、Compile mapボタンを
  押すと、展開図が作成され表示されます。 簡単でしょ!
  今回の例は、画像が1枚だけなので、展開図は一部のみになります。全周の
  展開図を作成する場合は、位相の異なる画像を最低でも3枚は用意して、同じ
  ようにimsファイルを作成し、まとめて処理します。
  注意したいのは、読み込んだ直後は、各画像の表示範囲は全て0~360°に
  なっています。このままだと、複数の画像を読み込んでも表示範囲が、重なる
  ため全周の展開図になりません。各画像の表示範囲は、Listの項目にある
  ”From L”と”To L”で設定できます。各画像のどの範囲を表示させるかは、
  画質等を見て判断してください。

  Map作成画面では、極から見た展開図を作成する機能もあります。先頭の
  見本画像には、この画像も載せています。  
  作成するには、Projection typeの枠内にある、Polar projectionを選択します。
  後は、展開図と同じ要領です。

最初は、メニュの多さに腰が引けそうになりますが、使用してみると、そんなに難しいソフトではないことが実感できると
思います。 WInJUPOSの大半の機能は、今回作成したimsファイルを元に処理されます。このフィアルが出来れば、
作業の70%は完了したと思ってOKです。
次回は、De-rotation機能について書いてみます。
ではでは・・・




2013年10月9日水曜日

10月8日(JST)の木星


台湾ナウです。
8日早朝の木星です。急遽、台湾出張が決まったので、しばらく撮影はできそうにないので頑張ってみました。3時前はベタ曇りでしたが、3時半過ぎから雲が薄くなってきたので、撮影を開始しました。
雲が流れてくので、光量の変動は激しいものシーイング自体は良好でした。祈るような気持ちで、画面と空を交互に見ていましたが、LR撮影の時点で完全に雲の中。15分近く待って、GBの撮影をしました。この時のシーイングは、最悪でした。
時間差が大きいので、当然、RGBの画像のズレは大きいですが、WInJUPOSのローテション補正機能で、結構それっぽく仕上がります。WinJUPOSは、本当に便利なソフトですね。ただ、さすがに画像の左縁付近に無理やり感が出てしまいました。経度的には、GRSがまさに沈んでいくところです。
撮影後は、爆睡。朝起きたら快晴でした。さすがに太陽を撮影する気力も時間も無く、出社しましたが、あとでみなさんの画像を見たら、大きく広がったプロミネンスが見えていたようで、残念です・・・でも、平日は無理・・・


2013年9月28日土曜日

9月29日(JST)の木星


相変わらず、ほとんど在中国。移動疲れで、撮影する意欲がやや下降気味でしたが、今朝は根性入れて撮影しました。しかし、寒かったですね。ここまで気温が下がるとは思いませんでした。長袖程度だったので、後半から寒さに耐えられず、あわてて着込んだものの後の祭りでした。適当なところで切り上げたのですが、布団に入っても震えが止まりません。太陽撮影をする気力もなく、昼前まで寝込んでいました。
愚痴はこのぐらいにして、今朝の木星ですが、シーイングは良かったです。変動がやや大きかったので、細部の写りはもう一歩でしたが、久々の撮影でここまで撮れれば文句ありません。
今回は、メタン(CH4)やUVの画像も載せておきます。カラー画像は、LRGBとRGB画像です。
シーイングが10段階で6~7程度になると、私の場合はLRGBよりRGB画像の方が解像度が上がります。上の画像で見ると、LRGBの方がやや解像度が高いので、シーイングは5~6ぐらいでしょうか。
NEBnのちょうどCM(中央)付近にWSZと呼ばれる淡い白斑が見えています。淡い模様なのですが、今回は割と明瞭に写っていました。このWSZ、可視光では淡い模様として見えますが。メタンで撮影すると、大赤斑なみの明るい白斑として写ります。先週この付近で、2つのバージと呼ばれる暗班が合体しました。WSZの左上が合体後のバージだと思います。今回WSZが目立ったのも、この影響かもしれません。

2013年9月22日日曜日

9月22日(JST)の木星


(追加) Autostakkert-Single


手伝いで引き受けたお仕事が想定外の忙しさで、随分と間が開いてしまいました。なにせ、休日など関係なく中国出張が入るので、どうにもなりません。アイソン彗星の頃まで続きそうなので、ヘール・ボップに続き、大彗星には縁がないパターンになりそうなのが残念です。
さて、今朝のシーイングはかなり良好で、3/5(6/10)ぐらいでしょうか?
 ※ 大きい揺れは無かったのですが、短波長側の解像度はあと一歩でした
ようやく30cmで撮影できるようになり、解像度がワンランク上がりました。

DK125(12.5”-F20) Nikon 1.6x
DMK21AU618 L,R,G,B 各120sec WinJUPOSでLRGB合成

(追記)
ヨネヤンさんにご指摘された、SSTBの件ですが、マルチスタックにすると発生しました。最初は境界の問題かと思いましたが、手動で配置しても同様の結果でした。ならばと、Singleスタックにしてみたのが下の画像です。解像度は多少犠牲になりますが、全体的にスムーズになりました。
今回の件で思い出しましたが、素晴らしい惑星画像を撮影するY氏と、以前お話をする機会がありました。氏の処理は、現在でもRegistx5で行っているそうです。シーイングに応じた画像にはなるのですが、好シーイング時の画像の滑らかさは特筆ものです。今回、それを思い出して試してみたのですが、予想以上に良い結果が出ました。シーイングの良い時は、意外とシンプルな処理が好結果を生むのかもしれません。
惑星画像処理も、奥が深いですね。

2013年9月7日土曜日

9月6日(JST)の木星


前日は、凄い雨と雷でしたね。駐車場に置いていたプラステック製の段差プレートが、増水した影響で、数十m先まで流されていました。ただ、風が大したことなかったので、望遠鏡への影響は軽微でしたが。
さて、次の日の早朝は比較的シーイングは良好でした。でも、雲が次から次と来襲し、RGBシーケンスの連続撮影中、どこかで茶々が入り、もうぐちゃぐちゃです。もっとも条件が良かった撮影がこれまた最悪で、肝心のR画像撮影中にWIndowsの更新で、PCが再起動してしまいました。なにそれ! でした。結局、L画像もまともな撮影ができなかったので、時間が飛んでいるRGBの画像をWinJuposで合成してまとめました。やや眠たくなるRGB画像を強引にハイコントラストに仕上げています。

2013年9月3日火曜日

8月31日(JST)に撮影した月面


眠くなりましたので、画像だけアップします。
色々と失敗して、お見せ出来る範囲が小さくなってしまいました。
コメントは、明日にでも追記します。
おやすみなさい。(=_=)zzz

OMC200 直焦点, ASI120MM
画像16枚(ぐらい?)のモザイク合成

2013年9月2日月曜日

8月31日(白色)、9月1日(Hα,CaK)の太陽


太陽3姿態です。
最初の画像は、8月31日に白色光で撮影した黒点群です。右上の小さな黒点群が、1834群。右下が1835群。左が1836群です。ちなみに、この画像、太陽の赤道帯を撮影しているように見えますが、実際は傾いていますのでご注意を。
下の写真は、9月1日に撮影しました。面白いのは、右上の1834群です。白色光で見ての通り、黒点はごま塩状態ですが、CaKで見るとプラージュが広範囲に広がっているのが見えます。
さて、今回のHαの画像は、Wスタックの検討用で購入したPSTで撮影しました。 ※ 現時点ではシングルですが
PSTは低価格なので、Wスタックも低予算と思い中古を手に入れたのですが、やはり色々な問題があります。まず、PSTの半値幅は1Åなので、coronadoの60mmより表面模様は見くいです。ただ、じっくり見ていると意外とシャープなイメージで表面模様が見えてきました。次に撮影をしてみましたが、DMKではピントが合いませんでした。CaKはギリギリOKでしたが、HαのPSTだと合いません。同じ形態の製品なのに、この違いはなんなんでしょう。ピント位置を、こんなぎりぎりしなくても良いのに。 しかたがないので、ショートノーズのバーローレンズを付けて対応しました。1.2xに拡大されるので、一度では全球面の撮影ができません。この画像は、南北を別撮りして合成しています。ムラも大きく、表面の模様の出方もムラがありますが、処理した画像は意外と悪く無い出来になりました。
この結果に、この先に進むのか? ヤフオク行きにするのか? 悩んでいます。微妙なところですね。



2013年8月31日土曜日

8月31日(JST)の木星


久しぶりに更新します。今朝の木星です。昨晩も撮影したのですが、この時のシーイングは酷くて、処理しても何も出てきませんでした。今朝は大きな揺れが目立ち、ピント合わせに苦労したのですが、強めの処理をすると意外と模様が出ました。今回のカメラは、以前紹介したBlackflyです。L画像がF36で50FPSで取り込めるのが、メリットでしょうか? 今回の画像で苦労したのは、マルチスタック処理をすると周辺にリング状の模様が発生する点でした。シングルスタックだと問題無いのですが、マルチだと結構目立ちます。今回の画像は、中心部から60%ぐらいまでがマルチの画像で、周辺部はシングルの画像割合を増やし、この模様を軽減しました。現状でも痕跡は見えるのですが、今回はこれで良しとしておきます。
気がつけば、庭の30cmでも撮影できる高度になりました。でも、夏休み掃除してから、光軸調整が途中で止まっています。今晩天気が良ければ、調整しなければ・・・

2013年8月19日月曜日

8月19日(JST)の木星


昔使っていた、20cmを引っ張りだしてきました。F20なので直焦点で撮影していますが、やはりちょっと小さいですね。細かいところがよく分かりません。次回は、もう少し拡大して撮影してみます。
木星の高度が低いのも一因とは思いますが、昨年と比較すると、シーイングの程度は2段階くらい悪いのでは思ってしまいます。


2013年8月16日金曜日

ぽっかり浮かんだプロミネンス


8月14日、15日、ぽっかり浮かんだプロミネンスが見れました。特に15日は、シーイングが良かったので、蜘蛛の糸ように細いガスの流れを見ることができました。
今日は、一日画像処理していました。やってもやっても画像が出てくるのでヘトヘトです。後半は、処理も簡便でノイズも無視。遠目で見ていただけると助かります。
その他
 ・ 南半球に見えていたダークフィラメントは、15日早朝に吹き上がってしまいました。あと数時間遅れていれば、多くの方が撮影できたと思います。残念。
 ・ ペルセは、伊豆に行きましたが見事に曇りました。天城高原まで行けば晴れ間があったようですが、次の日も仕事だったので、曇り空の中、天然クーラの中で寝こけていました。
ちなみに、出現は平年より少なめのようです。極大は、12日の昼ごろだったという声もありました。

おしまい。

8月13~15日に見れた静穏型プロミネンス

8月13・14・15日の3日間、東のリムに現れた静穏型のプロミネンスです。初日のエリンギの頭のような姿が、印象的でした。

  8月13日

  8月14日

  8月15日

今シーズン初の木星 8月16日(JST)


今シーズン、最初の木星画像です。メインの30cmでは、9月以降でないと撮影できそうにないので、太陽撮影用の望遠鏡を外して、そこに屈折望遠鏡を載せて撮影しました。155mm(F7)なので、パワーメートの4xでも4,000mmぐらいしか稼げません。小さい木星像ですが、シーイングは悪くはなかったので、それなりに写りました。