金星の撮影について


天文ガイドの12月号に、金星の写真が入選しました。入選した画像自体はサーバーのどこかに埋もれてしまい行方不明なので、片割れの元画像を載せておきます。

金星は、可視光で撮影するとほとんど模様は写りませんが、近紫外域で撮影すると、模様が写ります。金星のスーパーローテーションと呼ばれている4日で金星を1周する大気の循環も、近紫外画像の雲の動きから発見されました。この波長で写るのは金星大気の雲の表面で、そこに含まれる紫外線を吸収する物質の濃度差を表していると言われています。その物質が多いと、紫外線が吸収され、その場所は暗くなります。ただし、その物質の正体は確認できていないそうです。

今回撮影した画像は、下記のような方法で撮影しています。参考になればと思い、個人的な感想を含めて、メモ代わりに掲載しておきます。
ちなみに、もっとも基本となるUV域のフィルターには、Astrodon製のUVenusファイルターを使用しています。

① 光学系
  今回使用した光学系は、ダールカーカム式の30cm反射望遠鏡です。F20なので、今回の画像
  は、直焦点で撮影しました。近紫外線での撮影において、純反射系のみで撮影できるのは、
  メリットがあると考えています。今回撮影した波長は、中心波長で355nm(半値幅60nm)。
  この波長域は、レンズで構成する光学系においては、ほぼ設計外と思われます。
  バーローレンスの色収差の評価は、下記のリンク先でRB星さんが詳細に検証しています。
   http://homepage2.nifty.com/rb_star/barlow-01.htm

  個人的には、色収差の影響を受けにくい反射光学のみで撮影できたのが、解像度を高く
  できた要因と考えています。

② CCDカメラ


  当初はDMKで撮影したいましたが、上の画像を見てのとおり、画像処理を強めにすると欠け側
  にリング状の模様が発生しました。これを防ぐのに効果があったのが、PGR社のChameleonと
  呼ばれるCCDカメラです。このカメラで撮影するメリットは、A/D変換が12bitという点です。
  撮影時に"Ser"という形式を指定すると、16bitで保存することができます。4bit分は無駄で、
  フレームレートも下がりますが、擬似リングを抑えることができました。この方法は、木星や火星
  でも有効と思います。
   ※ 12bitA/Dに関係なく、カメラ自体の性能かもしれませんが・・・

 ③ ウエッジプリズムの使用
  大気補正で使用されているウエッジプリズムを使用しました。
  近紫外域においては、半値幅が60nm程度のフィルター使用でも大気差の影響は大きいです。
  計算上、6000mmの焦点距離において、高度35°の場合は、330nm-380nmの波長間のズレ
  は38μmとのことです。画素に換算すると、ほぼ10ピクセル。画素分解能が0.12秒/ピクセル
  なので、角度にして1秒近くずれることになります。この影響は大きいと思います。
  使用しているプリズムは、Edmound Optics製の偏角2°の製品です。BK7なので、350nm以下
  の波長は厳しいのですが、使用したほうが良い結果が得られると考えています。

個々の項目について、使用の有無による効果の比較をすれば、説得力があるコメントになったとの
ですが、そこは適当おじさんなので、思いつきをまとめて実行したらこうなりました・・・で終わって
います。


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