ASI120MM CMOSカメラ


今回紹介するのは、ZWO社のASI120MM、CMOSセンサーを搭載したUSB接続のカメラです。
中国もしくは台湾製のカメラと思われますが、なぜか原産国表示がありません。でも作りは上等で、サイズがやや大きいものの、重さはDMKと大差がない感じです。センサーは、Aptina Imaging製のMT9M034が使用されています。このCMOSセンサーの分光特性は以前ブログに載せていますが、ピーク感度ではQEが75%に達します。CMOSセンサーはノイズが大きく、過去のテストではゲインをあまり上げられなものが大半でした。太陽や月の撮影では問題ありませんが、惑星にはあと一歩という印象でしたが、このカメラは、CCDと遜色ない感度・ノイズ特性を持ち合わせています。ようやく、本格的な惑星撮影に使用できるCMOSカメラの登場です。
このカメラ、今のところ日本での代理店はなさそうです。私は、ドイツのTS社より299Euroで購入しました。円安の影響で、送料込で約4万円をやや超えます。メーカのH.P.に載っていた、このONLINEショップでは、送料込で$317で販売しています。こちらの方が、お得です。
このカメラの特徴は次のとおりです。

 [特徴]
  ・ XGA(1280×960)仕様なので、月・太陽にも向いている。
  ・ ピクセルサイズが3.75μmなので、拡大率が小さくてすむ。 ※ ICX618は5.6μm。拡大率の変更が必要になります。
  ・ USB2.0接続なので、取り扱いが容易。
  ・ ROI(撮像範囲を絞る)により、カタログ値では100FPS以上。4年前のPCで、70FPSまでは動作確認。
  ・ 実感度が、SONY製CCD-ICX445(モノクロ、ピクセルサイズ3.75μm)と同等。
  ・ 低価格(30,000円 $299) ※ 送料は別です
  ・ 付属品が豊富。(f=2.1mm CCTVレンズ、1.25"-IRカットフィルター、Φ31.7mmスリーブ)※ 写真参照

買って(°д°)なのは、CCTVレンズが付属していること。$299の価格で、レンズだのフィルターなどが付属しているとは・・・
原価はいったいいくらなのでしょうか?
本題のカメラの性能ですが、前回と同じく既存のCCDカメラと比べてみました。DMKと比較すると、ピクセルサイズの違いから拡大率を変更する必要があるので、今回は同じピクセルサイズを持つ、PointGreyのChameleonと比較しました。ICX445を搭載したこのカメラは、惑星用として十分な感度を持っています。昨年までの土星は、ほぼこのカメラで撮影しました。


見ての通り、ASI120MMはCahmelonより10%ほど露出が伸びましたが、ほとんど差が無いと思います。Chameleonは、ROIを設定しても最大で25FPS程度までしかキャプチャーできませんが、ASI120MMは、70FPSでも可能でした。30cm-F20で最大ゲインまで上げると、L画像はそのレートで撮影できます。これは、前回紹介したBlackflyよりも高速です。長時間露光時のノイズもCCD並で、カメラ自体は1,000秒まで設定できます。撮影した画像の等はCCD撮影したものと同等でした。実際、画像処理も含めて従来と同じ手順で問題なく作業できます。
海外では既に多くの方が使用しており、最近ではフィリピンのGoさんが、このカメラで素晴らしい土星の画像を撮影しています。ちなみに、前回のブログの土星画像もこのカメラで撮影しています。

問題点
大きな問題はありませんが、購入直後からCCD面はゴミが多かったです。保護ガラスが無いのが一因ですが、外から見えないところで、手を抜かれている感じがあり残念です。また、CCD用のキャップが付属していません。自分で用意するか、撮影後にCCTVレンズを付けておく必要があります。まぁ、たいした問題ではありませんが。
惑星撮影でもっとも気になる点は、電子シャッターがローリングシャッターということです。これは、全画素に対し一斉に露光の開始・終了を行うのではなく、1ライン毎に開始・終了を制御する方法です。コスト面でメリットがあるので、CMOSセンサーではごく普通の仕様です。このシャッター方式の欠点は、画面の最初と最後のラインで時間差が生じることです。一般撮影でも、コンニャク現象などと呼ばれていますが、動体やカメラを揺すりながら撮影すると、プリンとか、コンニャクが揺れるような様の画像になります。
本来、静止画像に近い天体撮影では問題になりにくいのですが、シーイングの影響でゆらゆらしてる対象に、ローリングシャッターによる乱れが加わる可能性があります。今後は、その当たりの確認もしてみたいと思います。

付属のCCTVレンズで撮影(望遠鏡の向いている先の星が土星)
0.5秒露光×10フレームぐらいをRegistax5.1で合成(ノイズを消すのに使用)

このカメラで撮影した月です。

コメント

ミュートン さんのコメント…
このカメラも魅力的なカメラですね
高性能、低価格 私も是非一台手に入れたい
カメラです ただ、海外製品の買い方が
よくわからなくて、どこかに代理店は無いものでしょうか

月面から惑星もしくは視直径の小さい
星雲など力を発揮しそうなカメラです

これからCCDカメラからCMOSの高性能の
カメラが続々と出てきそうな気がします。


@hasyama さんの投稿…
ミュートンさんへ
このカメラは、結構優れものですね。私のシステムでは、ピクセルサイズが小さすぎるのが難点ですが。※ 主に直焦点
購入は、キャッシュカードで手続きすれば、普通に送ってくれます。ドイツのTS社なんか、3~4日で届きます。日本で買うより早いかも。欠点は、何かトラブルが発生すると英語でのやりとりになるので、その点だけでしょうか。

今後の、CMOSカメラで期待するのは次の点ですね。
 ① 近赤外側の高感度化
 ② リアルタイムのHDR動画
 ③ さらなる低ノイズ化
既に製品化されているものもありますが、価格や感度ノイズ面で難ありです。でも、いずれ解決されるでしょう。
@hasyama さんの投稿…
ミュートンさんへ
追伸
ちなみに、このカメラで使用可能なキャプチャーソフトは、FireCaptureとSharpCapです。
FireCaptureはVer2.2以降からなので、状況はBlackFlyと同じです。SharpCapは、使ったことはありませんが、ネットから無償でダウンロードできます。
ご参考までに
RB星 さんの投稿…
こんばんわ
すいません。また、質問です。
 実質感度はほぼChameleon並と考えて良いのでしょうか。
 私はBasler Ace acA1300-30gmを持っていて、CCDチップがChameleonと同じICX445ですが、特に違いがない、つまり急いで買うほどでない(笑)でしょうか。
 なお、6月17日の記事に投稿されているER34さんのようにJAVA のファイルを入れ替えると、FireCapture2.2 が私のWindows7 32ビットでも起動しました。
 まだ撮影までしておりませんが、動きそうです。
米山誠一 さんの投稿…
安価なCMOSで惑星撮影が可能になる時代になったのですね。
サイズがXGAは魅力的です。月はあまり撮影しないけど太陽には良さそうです。
私はカメラより光学系改良の方が課題なので、カメラは現状で我慢です。
@hasyama さんの投稿…
RB星さんへ
感度は同等でした。写り方もほとんど同じです。動画を見たら区別がつかないと思います。
ただ、Cameleonはフレームレートが遅いので、その点はメリットがあります。しばらくは、Chameleonの代わりに使ってみようかと思っています。Baslerのフレームレートに不満がなければ、急いで買う必要はないと思いますよ。
FireCaptureの件ですが、有益な情報ありがとうございました。ER34さん・・・凄いですね。私はすぐに諦めてしまいました。
試してみます。
@hasyama さんの投稿…
RB星さんへ
私のWindows7-32bitでも立ち上がりました。でも、64bit版はダメでした。なんにしろ解決できそうで良かったです。情報、ありがとうございました。
@hasyama さんの投稿…
ヨネヤンさんへ
CMOSカメラはこれからです。コスト・性能とも、日々良くなっていくと思います。CCDと違い、メーカーの数が違います。
今後が楽しみです。