2013年6月2日日曜日

太陽撮影システム3 (Daystar社 ION 0.7Å)


太陽観測用のHαフィルターメーカーは、Coronado、Lunt社が有名ですが、知る人ぞ知るメーカーとしてDaystar社があります。日本で使用している方はあまり見かけませんが、Coronadoのような口径の制限が無いので、海外では15cmを超える望遠鏡に取り付けて、素晴らしい画像を撮影している方々がたくさんいます。今回紹介するのは、Daystarで一番安い部類に入るフィルター"ION"です。下の写真の赤い部分がフィルターがそれにあたり、半値幅が0.7Å仕様で約$2,200でした。プラス、エネルギーカットフィルターやアダプター送料等で、総額$3,000の出費です。 ※ 円高だったので助かりました・・・
Coronadoの90mm望遠鏡が送料込で$4,000ぐらいですから、既存の望遠鏡を利用できるこのフィルター利用することで、多少なりとも安くすることができます。


"ION"は、フィルター単体で超狭小のHαフィルターを実現しています。これを焦点側に配置するので、口径の制限はありません。ただし、フィルターや光学パーツのダメージを防ぐため、先端部にUV/IRをカットするエネルギー遮断フィルター(ERF)を取り付けます。このERFは、エタロンほど高価ではありませんが、市販で入手可能なものは20cmぐらいまでです。したがって、このフィルターで実質的な口径の制限が発生します。
このフィルターを使用する上での一番ポイントとなるのは、F値です。下の構成図を見ての通り、フィルターの手前に、バローレンズを配置しています。そしてメインユニットのHαファイルターという構成になります。
バローレンズを使用する理由は、このHαフィルターに入射する光を、できるだけ平行光にするためです。Fが短くなると、半値幅の値が定格より大きくなり、表面のコントラストが低下していきます。メーカは、F27~F30程度を推奨しています。私の場合、望遠鏡の口径を絞り、F27.2で使用しています。

 ・ Borg125mmF6に対し、口径を110mmに絞る。 ※見た目はF6.8になる
 ・ Televue Powermate 4xにより、 6.8×4=27.2で使用。

構成図

F値と半値幅の関係

エネルギー遮断フィルター(黄色)の画像です。フィルター自体は、130mm以上ありそうですが、内側に110mmの絞りが入っています。フードに被せて、ネジ3点で、半固定状態で使用しています。


なんだかんだと話が長くなってきたので、今回はここまでにします。
次回は、このフィルターを使用する上でのコツや問題について書いてみたいと思います。
ではでは

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

CoronadoとLuntしか知りませんでした。Daystarというメーカーもあるのですね。
保有している望遠鏡が活用できる点や口径制限が少ないのも良さそうですね。
それに価格面でも魅力的です。
この手の機材は当たり外れが激しいと言われていますが、その点は如何ですか?
有益な情報をありがとうございます。

@hasyama さんのコメント...

減光フィルターで有名なOaks Opticalでも、Hαフィルターを販売しています。0.9Åの半値幅なので、プロミネンスの撮影が主になりますが、これもDaystarと同じような仕組で$1000ぐらいで購入できます。
Daystarのようなフィルターは、大口径で撮影できるメリットがあるものの、F値が大きいのが欠点でしょうか。F30だと、惑星を撮影するような拡大率ですから。調整も結構大変ですし、シーイングの影響もモロなので。
でも、私の趣向にはピッタリです。
ちなみに機材のばらつきですが、きっとあると思います。なんせ、物が到着した時、本体と2インチアダプタのネジが合っていませんでした。ネジ山が相互に、mmとインチで切られていたようです。
でも対応は良く、すぐに交換品を送ってきてくれました。
個人輸入のお約束ですね。

Unknown さんのコメント...

デイスターをアマチュアで使っている人は少ないですね。
私はディスターフィルターは2台目です。最初はTスキャナー、今はクァンタムです。扱いづらいのですが、大変気に入っています。

@hasyama さんのコメント...


Oshima様

ブログへのコメント、ありがとうございました。また、長期間放置してしまい、申し訳ありませんでした。
海外で撮影されたHα画像にDaystar社のFilterが使用されていたので、やや不安だったものの、購入に踏み切りました。Fが長く、半値幅も0.7Å品なので、主にプロミネンスの画像を撮影したいますが、個人的にはとても気に入っています。
冬場は、自宅からの撮影ができないので冬眠していましたが、そろそろ撮影が可能になってきました。撮影できたら画像をアップしていきますので、これに懲りずに見に来てください。