2015年6月30日火曜日

オリジナルフィルターを作る

熱線カット用のKG3フィルターが届きました。直径25mm。これを31.7mmフィルター枠に挿入します。
でもこのフィルター枠、内径が26mmぐらいあるので25mmのフィルターは固定できません。なので、Filterの径を大きくする必要があります。最初はテープとかを巻いていたのですが、時間とともにずり落ちてくるので、今は金属ワッシャーを購入してそれをはめ込み、直径で27mmに仕上げています。ただ、ワッシャー自体の内径も25mmなので、そのままだとFilterに嵌まりません。一端に切り込みをいれて、内側に曲げてバネ構造にします。これをFilterに被せれば、バネの力で締め付けられて固定できます。それをFilter枠に入れて、付属のリングで締めれば完成です。テプラでシールを作って貼ると、いい感じに仕上がりました。部品の購入先は、下記にリンクしておきます。 ※ 天文ガイド2014年10月号と同じネタですが・・・

 ・ フリーワッシャー  ※ 追記:MISUMIは個人取引をしてくれませんので、ご注意を。← じろーさん情報です



2015年6月29日月曜日

ASI224MC?

誤報かもしれませんが、ASI120MMとかで有名なZWO社が、SONYの新しいCMOSセンサーを使用したカメラの試作を行っているようです。CMOSは、IMX224LQRまたはIMX225LQRのどちらが実装されているものと思われます。
 ・ IMX224LQR、IMX225LQR 3.75μmピクセル、1305x977画素、Colorのみ←残念

天文用として興味深いのは、チップ内蔵の最大ゲインが72dBもあります。それだけ低ノイズとのこと。また、赤外感度が非常に高い可能性があります。テストデータを見た範囲では、CH4(メタンバンド)の画像が信じられないレートせ撮影されていました。 ※ 嘘っぽい感じもしますが

 ・ ASI120MM  で撮影された土星のCH4画像
 ・ ASI224MC? で撮影された土星のCH4画像
 ・ 0.1secx3300 露光で撮影されたM57の画像
    ※ 撮影は16"-Dob? 英文なのでよく読んでいません・・・間違っていたらゴメンナサイ
 (追加)
 ・ 5secx187 露光で撮影されたM27の画像(25cmです)

確認した範囲ではColorチップしか無いのが残念ですが、ホントだったらCMOSセンサー恐るべしですね。


 

2015年6月26日金曜日

太陽望遠鏡の安全性について

Daystarfilter社のERF(前回UV/IRカットと書きましたがIRカットではありませんでした。<(_ _)>)

太陽望遠鏡で問われるのは、安全性です。我々が小中学生の頃(なんと40年前か~)は、天体望遠鏡を買うと必ずSUNグラスなる付属品が付いていて、これをアイピースにねじ込んで太陽をみていました。焦点部に直付けで、それ以外の減光方法は一切していませんでした。しかも、これがかなり柔で、見ているときに割れたことがあります。加熱が原因だと思いますが、突然目の前が真っ白になって驚いた経験があります。多くの方がこのような経験をしているようなので、当時は当たり前だったようですね。今から思えば、網膜が焦げなくて本当によかったです。今日では、安全性の問題から市販されていないようですが、結構デンジャラスな環境で太陽を見ていたんですね。
さてさて余計な思い出話は置いておいて、現在の太陽望遠鏡は、当時と比較すると安全面ではかなり強化されています。その分価格も桁違いに高くなっていますが、これは仕方が無いことですね。今回PSTを改造する上で、もっとも気になるのは安全面性について、机上ですが検証してみました。

① ERF(Energy rejection filter) ≠ UV/IRカットフィルター
Hα望遠鏡の基本的な構成では、望遠鏡の先端部にERFと呼ばれるフィルターを装着します。一部の機種、例えばDaystar社のQuarkフィルターは、口径80mm以下の場合はERFが不要とされています。メインフィルターに実装されているERFで耐えられる設計になっているのようです。でも、焦点面に近い位置に配置されるのですから、それなりのストレスが加わっているのは確かでしょう。さてこのERFですが、名前の通り太陽からのエネルギーを遮断する機能を持ちます。エネルギーの遮断というのも曖昧ですが、実際市販されているフィルターの特性は、製品によって性能が異なるのがわかりました。代表的なものは、Badder製のD-ERFとDaystarfiter社が販売している下記製品です。
 ・ Baader  D-ERF : 300付近-600nm及び700-1400nmの波長をカット
 ・ Daystar YG530 : 300付近-500nmの波長をカット
BaaderはHαの短波長側及び長波長側をカットしていますが、Daystarは短波長側のみカットしています。Daystarに確認したところ、これは正しいとのことでした。「太陽光エネルギーの大半は、500nm以下の波長成分が占めているとのことなので、これをカットすれば実用上問題無い」とのことでした(ホント?と思いましたが)。ERF後にも本体内蔵のフィルターがあるので、近赤外の光がそのまま網膜まで届くとは思っていませんが、Daystarの回答としては、「気になるようならアイピースにIRカッtフィルターを付けるといいよ!」とアドバイスしてくれました。 ※「漏れているのか!?」と思ってしまいます。
考え方ですが、DaystarのERFの考え方は、その後に配置するメインフィルタ-(エタロン)にダメージを与えない役割を想定しているものと考えられます。その点、Badderは近赤外側もカットしているので、人に対する安全面についても考量した設計になっているようです。ただし、1400nm以上の赤外線は通過するので、確実な保護になっているかは多少疑問が残ります。このように、ERFという名前で市販されているものは、必ずもUV/IRカットではないことを覚えておいてください。

② Coronadoのフロントエタロンフィルターについて
Coronado社やLunt社は、対物レンズ先端に装着するエタロンフィルターを販売しています。これらのフィルターは、先端分にERFが仕込まれているようですが、この特性を評価したデータがあるので、リンクしておきます。テスト対象は1世代前のSM60のようですが、見てのとおり近赤外側はカットされていないようです。長波長側は、後段のブロックフィルターでカットしているようです。 ※ グラフはOD値で表示されています。

③ ブロックフィルター

BF-15:アイピース側: Herzlich Willkommen auf der Astro-Filterseite
Coronadoのブロックフィルターは、2ユニットのフィルターで構成されています。対物レンズ側のフィルターがminERFになっていて、ここで600~700nm付近の光を透過させています。次段は狭小のブロックフィルターで、ここでHα光のみを抽出します。ここも注意が必要です。まず、対物レンズ側に配置されたフィルターは、長波長域は2500nm付近までブロックしますが、短波長側は350nm付近に通過域があります。つまり、このフィルター単体では紫外線をカットしきれていません。PST改造でこのブロックフィルターを使用する場合は、その前段部に400nm以下を確実にカットするフィルターを用意した方が無難です。また、接眼部側のフィルターは656nmのHα光付近のみを抽出するかなり鋭いフィルターですが、このフィルターは波長が750nm以降はまったくブロックしません。つまりは、全体構成できちんと透過波長を管理しないと、安全な太陽望遠鏡は構成できないことが理解していただけたと思います。
 ※ BF-15後段のフィルターのグラフは、750nm以下のデータが無いようです。

④ 結論
私が目指しているPST改造望遠鏡は口径150mmなので、対物レンズ前面にERFは必須です。これには現在使用しているERFをそのまま使用するつもりです。近赤外側はブロックされていないのですが、これはCoronadoのブロックフィルターでカバーするつもりです。なお、多少不安が残っているので、さらなる安全対策として次のフィルターを用意しました。
 ・ Shott社製 KG3 熱線カットフィルター  波長5μmの赤外線までをカット 
 ・ HOYA HA-30 熱線カットフィルター    ※ じろーさん情報

KG3フィルターを使用すれば、IR側は本家の太陽望遠鏡以上にブロックできます。欠点は、光学研磨がされていなので、表面精度があまり良くない点と、このフィルターが熱を吸収する作用でブロックするので、配置によっては冷却が必要な場合があります。現時点で私が考えているのは、31.7mm枠を付けてアイピース側に装着する予定なので、発熱の心配はほぼ無いと思います。100mm以下の小口径望遠鏡であれば、市販のUV/IRカットフィルターで代用可能と思います。でも、きちんと特性は確認してくださいね。大半のフィルターは、1500nm付近より波長の長いエリアを透過しますので。

長くなりました・・・今日は、これでおしまいです



2015年6月24日水曜日

6月24日(JST)の太陽

今朝は、台風一過のような雲ひとつ無い青空でした。それでも水蒸気が多いのか、柔らかめの日差しだったので、太陽撮影もさほど苦ではありませんでした。
さてこの日の太陽は、大きな黒点(2371群)以外は目立つ対象が無く、プロミネンスも目で見る分にはよかったのですが、撮影した結果はパッとしない絵になりました。ちなみに今回の画像は、いつもより拡大率を上げ撮影しています。前回は強拡大し過ぎで失敗しましたが、それでも大きな画像は迫力があるのが実感できたので、可能な限り拡大してみようと、4.4μmサイズのCCDで撮影しました。シーイングの影響でピント合わせが超難しかったのですが、小刻みに変動する画像の中にも、比較的解像度の高いイメージが見えたので、結果もそんなに悪くは無かったです。シーイングが良ければ、この拡大率でもいけそうかも。

話は変わりますが、PST改造で色々と調査しています。太陽望遠鏡の各段階での波長カット機能は、当初思っていたより複雑そうです。例えば、Daystarで使用しているYellow GlassのERFフィルターは、UV/IRの両方をカットしていると思っていたのですが、どうも着色ガラスのままのようで、UV側のみカットされているようです。つまり、IR側は垂れ流しの可能性があります。実際、集光側の焦点付近に手を当てると、そこそこ熱かったです。ってことは、天頂ミラーやPowermateにそこそこの熱負荷がかかっていたようですね。
PST改造では、このERFフィルターを利用してUV/IRカットを検討していたのですが、撮影はともかく眼視観測をする場合は、もう一工夫した方がよさそうです。

AP155EDF 155mm,F7 (ERF=150mm, Powermate 4x, f=4,350mm,  F29)
Daystar-ION (0.5Å), DMK51AU02(B/W) 50frames to stack x 5pics

2015年6月21日日曜日

Modify a PST (Stage0)

*** 注意 ********************************************************************************************************
以下の内容は、私の興味本位で行った改造内容について記載しています。太陽望遠鏡の改造は、
物理的な損傷以外に、身体にも大きな損傷を及ぼす恐れがあります。
また、メーカーの保証も受けられなくなります。
当然ですが、このような改造を行った結果で生じる損害については、責任は負えませのでご理解して
くださる方のみ、お読みくださるようお願い致します。
******************************************************************************************************************
ひょんなことからPSTを入手しました。でも、引き取り先の都合で行き場が無くなってしまい、ヤフオク行きを検討していました。でも心の中で「YOU、あれをやってみるよい機会ではないか・・・」と悪魔の声が。
で、やってしまいました。PSTを利用した、改造太陽望遠鏡です。実は海外では割と製作例があります。一般的な方法は、Stage1およびStage2と呼ばれていて、どちらもPSTのエタロンを利用して、口径をアップさせた望遠鏡を製作します。今回は、その予備段階として私が勝手に名づけたStage0改造について書いてみます。さらに、現在部品を手配しているので、最終的にはStage2へのステップアップを計画しています。
ちなみに、上の画像は改造PSTで撮影した全球面の画像です。1/2.8”のCCDでぎりぎり撮影できました。拡大レンズを未使用でもピントが出るので、撮影が楽になりました。モザイク合成の必要がないので、多少のムラがあっても、あまり気になりません。
では、工作時間です。 ※ 簡単ですよ
 材料
   ① PST太陽望遠鏡
   ② ウイリアムオプティクス製 フォーカサー
   ③ M52 UV/IRカットフィルター ※ 今回はLPS-P2を使用
   ④ ブロックフィルター ※ 今回はCoronadoのBF-10を使用
   ⑤ 延長筒 ※ バックフォーカスの調整用

  完成見本

まず、PSTの鏡筒をフォーカスブロックから外します。ネジを緩めるだけなのですが、機種によっては接着剤等で固定されているものがあるらしいです。私の個体は、ちょっと力を入れたら簡単に緩みました。筒の根元にある黒いハウジング内に、エタロンが収納されています。

外れたら、それをファーカサーにねじ込みます。ネジのサイズは不明ですが、フォーカサー側は2"のシュミカセネジで、これにきちんと勘合しました。

筒の先端に、UV/IRカットフィルターをセットします。M52サイズが装着できます。このフィルターは必ず透過特性を確認してください。UVやIR側に漏れがあると、目にダメージを与える可能性があります。今回の改造で、もっとも注意しなければならない点です。なお、今回はテストが目的なので手元にあったLPS-P2の光害カットフィルターを使用しました。当然Hαは透過域なので機能的に問題ありません。
また、構造上で注意するのは、フィルターを傾けることです。安全上は、きっかりネジを締める必要があるのですが、それだと視野内にゴーストが発生して太陽イメージと重なります。ここは工作者の工夫が必要な所なのですが、私は単純にゆるゆるに取りつけただけでした。結果、ゴーストは太陽から離れた位置に見えました。 ※ 安全上は問題あります。まねしないように。

接眼部には、CORONADOのBF-10を装着しました。接眼部で注意する点は、エタロンとBF-10の胴元までの距離です。先のエタロンのブロックには、コリメータレンズと再結像レンズが組みこれています。これは、エタロンへの光束をできるだけ平行光にするためです。その後に挿入されている再結像レンズはf=200mmで設計されているようなので、この距離を確保する必要があります。なお、BF-10の光路長を除くと、エタロン後方からBF-10までの距離は、下記のようになりました。
  ・ 接眼レンズ使用時:約145mm
  ・ 直焦点撮影時:約135mm
この距離と差を確保・調整できる構造が必要です。

これで完成です。
最大の問題点は、BF-10を使っていることでしょうか?PSTを買って、さらにこれを買うぐらいなら、最初からHαフィルター+BF-10でセット購入すればよいだけのことなので。
今回の改造は、あくまでもこの先に進めるためのデータを取るのが目的なので、ご勘弁を。
なお、工作が得意な方はBF-10ではなく、外したフィルターボックスに装着されているBF-5を利用するのが良いと思います。そうすれば、正真正銘のPST改造望遠鏡に仕上がります。

ではでは、次回の改造報告は7月中旬ごろになるでしょうか? 

2015年6月20日土曜日

6月20日の太陽

久々に、爽やかな朝を迎えることができました。週末だったことも幸いし、朝から色々と評価することができました。でも久々の撮影なのか、しょうもない失敗をしてしまいました。以下、その顛末です。

2371群が比較的大きめの黒点に成長していたので、根性入れて15cmを引っ張りだしました。最近は腰が痛いので6cmで楽していたのですが、久々の出動です。さてさてどんなもんだと太陽を眺めてみると、いきなりでかいプロミネンスが見えます。ついで2371群を導入しましたが、これまたでかい。よしよし、これは撮影し甲斐があるということで、カメラをセットしてモニターを見てみると、やっぱりでかい!! 画面いっぱいにプロミネンスが映るではありませんか。でも、ピントを合わせようと画面を拡大すると、ガッカリ。シーイングでゆらゆらです。ピント位置がよくわからず、行ったり来たりするも途中であきらめて撮影開始しました。プロミネンスを撮影して黒点周辺を撮影したのですが、干渉リングがなぜかバリバリ。こんなに酷かったっけ? と思いながらも、思考停止状態でだらだら撮影し続けました。
午後から会社に出勤して、仕事しながら画像処理。 ※ 正確には、画像処理の合間にお仕事ですが
で、気づきました。撮影用のCCDが間違っていたことに!!いつもはASI174で撮影していたのですが、この日は6cmで使用しているFlea3を使ってしまいました。CCDのピクセルサイズが、ASI174の5.86μmに対しFlea3は2.5μmです。大雑把に言えばいつもの倍以上の拡大率で撮影していました。プロミネンスも黒点の2倍・2倍。面積で4倍以上ですから、大きかったわけです。色々と処理をしたのですが、画像がでかすぎて半ボケ気味になり、どうにも改善できません。途中でめんどくさくなったので、処理終了。モザイク合成もとりやめました。
せっかく晴れたのに残念(+_+)です。


AP155EDF 155mm,F7 (ERF=150mm, Powermate 4x, f=4,350mm,  F29)
Daystar-ION (0.5Å), FL3-U3-32S2M-CS(B/W)

2015年6月8日月曜日

6/7(JST)の太陽

とりあえず、赤道付近だけです。
小さい黒点がたくさん見えるようになりましたが、プロミンネンスは小さいものばかりでした。

2015年6月5日金曜日

Lovejoy彗星と北極星その2 5/27


5/26の翌日も撮影しに行ってました。でも平日連チャンは流石にきつく、翌28日は会社で半ボケ状態でした。我がことながら、会社の先行きを心配してしまう今日この頃です。

前日はBorg125SDで撮影しましたが、やはりFが暗いので、この日はレデューサ無しのVSDで撮影しました。背景に分子雲が浮き出るぐらいまで処理を強くしています。見てのとおり元画像は分子雲だらけで、ムラと混ざってグチャグチャでした。でも、彗星の尾が以外と伸びているのが見て取れます。この時北極星と彗星の離隔は1.1°ぐらいなので、尾は0.5°ぐらいありそうですね。
Lovejoy彗星はしばらく、北天を移動するのでほぼ一晩中観察できます。次回、6月の新月頃に撮影する予定です。 
 ※ 晴れないかな・・・


撮影時刻 2015/5/28 1:18~
撮影地 富士見高原
Vixen VSD100(F3.8)、SONYα7S ISO3200, 30sec x 58pics
DSS(Comet/Star Stacking)+Pixinsght+Photoshopで処理

2015年5月31日日曜日

5/31(JST)の太陽


久々に、Daystarで撮影しました。15cmを彗星撮影用にいじくっていたのですが、部品が間に合わなかったのでとりあえず元に戻しました。
太陽面は小さな黒点しかありませんが、プロミネンスは目立つものがあり、輝度もあったので見ても撮っても楽しめました。

AP155EDF 155mm,F7 (ERF=150mm, Powermate 4x, f=4,350mm,  F29)
Daystar-ION (0.5Å), ASI174MM(B/W)
プロミネンス 33msec-20sec(150frames to stack)
黒点      15msec-20sec(100frames to stack)

2015年5月30日土曜日

Lovejoy彗星と北極星 5/26

既に終わった感があるLovejoy彗星(C2014 Q2)ですが、現在でも8等級の明るさを維持しています。今週前半から後半にかけて、北極星の近傍を通過していきました。つまりは、一晩中ほぼ同じ位置に見えます。ただそれだけの事なのですが、せっかくの機会なので平日に原村まで撮影しに行きました。ほぼ快晴の空でしたが、さすがに誰もいません。月が明るいうちに望遠鏡を組み立てて、準備は完了。彗星自体は5cmの双眼鏡でも見えるので、北極星のほぼ真横に向ければ視野にはすぐに入ってきます。ただし、構図は一苦労でした。赤経軸を動かしても視野回転するのみで、XYのようには動いてくれません。回転・赤緯移動をちまちまと繰り返して、どうにか撮影を開始できました。
元々尾が淡い彗星だったので双眼鏡ではまったく見えませんでしたが、画像では扇状に拡がったかすかな姿を確認できました。ただ、これ以上画像を持ち上げると、北天の分子雲が中途半端に浮き出てきて尾と絡み、とっても汚い画像になってしまいます。フラットもしていないので、ここら辺りで切り上げました。
ちなみに今回の機材は、太陽撮影で使用しているBORG125SDです。フラットナーとかレデューサとか持っていないので、フルサイズの周辺星像はかなり酷いものでした。 ※ かなり切り取りました。
てなわけで機材が車の中なので、太陽撮影できません。

撮影地 原村
BORG125SD(F6)、SONYα7S ISO3200, 30sec x 40pics
DSS(Comet/Star Stacking)+Pixinsght+Photoshopで処理

2015年5月25日月曜日

5月25日(JST)の太陽


   ※ やや強調してみた
太陽面は小さな黒点が点在していますが、全般的に低調のようです。でも、ダークフィラメントの連なりや、やや大きめのプロミネンスがくっきりと見えていたのが印象的でした。
昨日、光学系の配置をあれこれいじくった結果、天頂プリズムを使用した構成でも双眼装置でピントがでるようになりました。ただ、まだいくつか問題があります。まずは、1.6xエクステンダーを使用しないとピントが出ない点。全体的に倍率が高めです。あと弱めですが、CCDで干渉リングが発生してしまう件。上の画像も干渉リングによるムラが視認できます。
Fが大きいDaystarであれば、CCDを傾けてもさほど影響がありませんが、今回の光学系はどうなんでしょうね? 31.7mm径に合わせたチルト機構は無いので、またなんか工夫をせねば・・・

2015年5月23日土曜日

5/23(JST)の太陽


   ※ 5/23 全球画像に入れ換えました


今日は、新兵器を試してみました。WO製の双眼装置です。前から欲しかったのですが、Double Stackの記念?でポチしてしまいました。
で、さっそく望遠鏡にセットしてみました。でも、問題発生。天頂プリズム式のブロッキングフィルターではピントが出ません。x1.6のエクステンダーレンズが付いてはいるのですが、やっぱりダメ。とりあえず、手持ちのストレートタイプに変更したら、ピントが出ました。

まず最初にシングルスタックで試しましたが、とにかく「凄い!」の一言です。解像度が倍に上がったように見え、片目で見える画像とは明らかな違いがありました。表面の微細な構造が非常によく見え、なおかつ鮮明度が高いので、望遠鏡を見ているというより、宇宙船の窓から太陽を見ているような感覚になります。やはり双眼の効果は凄いですね。ではと思いダブルスタックにしてみたのですが、逆に暗くなって見にくくなりました、もちろん活動域は目立つのですが、衰え気味の私の眼には光量不足は問題です。でも、2本対で持っているのは、見ていた25mmと付属の20mm。25mmで約50倍なので、30mm以下の接眼レンズで倍率を下げるか、エクステンダーレンズ無しでピントを出せるようにしなければならないですね。アイピース2本買い・・・双望会の影響大ですね。

ちなみに太陽面は小さい黒点しかないので、やや寂しい感じがします。その分、ダークフィラメントの連なりが目立っていました。このような時こそ、Daystarでの拡大撮影が威力を発揮するのですが、現在15cm屈折を改造中なので出撃できません。残念・・・

2015年5月17日日曜日

5/17(JST)の太陽

あれこれ調整しているのですが、かえってムラが酷くなりました。局所的に干渉模様が発生したりと、よくわかんなくなっています。とりあえず、赤道付近を1枚。
彩層面は、東西にプラージュが連なっています。ダークフィラメントもあちこちに見えて一見賑やかなのですが、大きな黒点が見えません。フレアーを頻発さえていた2339群も、西に沈もうとしています。
Daystarでも撮影をしたいのですが、現状は機材を交換するのが大変なので、だらだらと60mmで撮影しています。今朝も、でかいプロミネンスが見えていたんですがね~。

西表島の星空

            Eos60Da, Tokina12-24mmF4, ISO3200, 30sec x 3枚モザイク合成

いきなりトロピカルネタですが、週末にかけて西表島に行ってきました。初社員旅行です。場所選定は任せたのですが、なぜか南の島に決定しました。
出発前に台風がぎりぎり通過して、なんとか悪天候は避けられたのですが、沖縄方面は梅雨入りするかもと言っていたので、持っていたのは三脚とEos60Daのみ。ところがどっこい、連日の好天気で大失敗でした。
星空は驚きの連続です。まず最初に驚いたのが金星。ホテルのプールサイドから見上げると最初に飛び込んできたのですが、サーチライト?と思えるような強烈な明るさです。おもわず声を上げてしまいました。ホテルの明かりがあるものの、背景はほぼ真っ暗です。ビーチに出ると、金星の周囲がぼんやり輝き、その光芒が木星方向にまで伸びています。黄道光でしょうか? 木星も、東京で見る金星ぐらいに見えます。ゴージャスな輝きです。
                        Eos60Da, Tokina12-24mmF4, ISO3200, 30sec

夏の星座が見やすくなるのは夜半過ぎなので、AM3:00まで仮眠をして2回戦目を開始しました。再度プールサイドに立って、南の方角に目を向けると、いて座の天の川がいきなり、目に飛び込んできました。凄いですね!! プールの明かりがあるのにですよ。急いでビーチに出てみると、天空をまさに横切って南から北まで横切っています。水平線方向には光害がまったくありません。すげーなー。

重くてもポタ赤とレンズを複数持ってくるべきでした。唯一のレンズは、トキナー12~24mmF4一本のみ。いくら空が良いとはいえ、さすがに固定撮影ではしんどい。気温が高いので、ISO3200だとノイズが大きいのですが、15秒程度の露光で複数回に分けたりして撮影しました。双眼鏡で天の川沿いを流せば、つぎつぎとメシエ天体が入ります。北アメリカ星雲もなんの問題も無し。双眼鏡もでかいの持って来れば・・・無理か。また、特筆すべきは、シーイングがものすごく良かったことです。明るい星を使って、ライブビュー+ループでピントを会わせるのですが、いくら広角レンズとはいえ、星の瞬きがまったくありません。肉眼でも見ても、瞬きを感じることはありませんでした。望遠鏡を持ってきていれば・・・かなり無理か。後半はけっこう雲が流れてきましたが、こんな星空を見たのは25年ぶりぐらいでしょうか。良い思い出になりました。
          Eos60Da, Tokina12-24mmF4, ISO3200, 15sec x 5枚 (総露出75sec)

南十字星もぎりぎり見えますが、一番下の星は高度で3°以下。光害が無いので南中時には十分見えます。この画像では、残念ながら撮影中に雲が到来して隠れてしまいました。肉眼では、島影ぎりぎりに見えていました。
 ※ 画像追加

西表島のトロピカルなビーチも1枚。星の砂海岸です。
看板には、海岸からは持ち出さないでね!と書いてあったのですが、近くのお土産屋さんには星の砂入り小瓶のほかに、なんと空瓶を販売していました。いいの?

島のメイン道路は1本だけです。海岸沿いを走るだけで、内陸に向かうルートはありません。しかも、島を半周しているのみです。道路標識は、速度表示以外ほとんど猫(イリオモテヤマネコ)の安全対策用です。人の死亡事故は7年ちかくないようですが、ヤマネコは55日前に輪禍にあったようです。そのため、車のマナーはとてもよく、33kmの区間で信号機が2本しかない道を、大半の方が時速40km/h+α程度のペースで走っていました。

水牛車に揺られて対岸まで行きます。時間がゆっくり流れています。

また行きたいな~

2015年5月13日水曜日

5/13(JST)の太陽

今朝は、気持ち良い青空が広がっていました。まさに台風一過ですね。ただし、シーイングは予想どおりで良くありません。ディスク外縁の彩層は陽炎のようにメラメラと揺れていて、拡大撮影をする気はまったく起きませんでした。 
さて、気がつくと太陽は黒点だらけのようです。先ほどチェックした範囲では、8つの群が登録されていました。最新は2347群です。西に傾き始めた2339群ですが、最近はおとなしめで活動のピークは過ぎたのかもしれません。まともに撮影できないまま、いなくなりそうです。
ちなみに、今朝は東側に大きなプロミネンスが見えました。4/23頃に現れたものとそっくりだそうです。 ※ 私は見ていない
明日以降も見えれば撮影したいのですが、これまた用事があるので無理そうです。皆さんの画像を楽しみにしています。

2015年5月11日月曜日

5/11(JST)の太陽


 ※ 5/11 画像入れ替えました

5/13の太陽面です。今朝は、撮影中に2339群の一部が輝き出しました。たぶん小規模なフレアーが発生したものと思われます。でも、シーイングはあまり良くなく、なおかつ会社に行かなければなりません。60mmの小径でパッと撮影しておしまいにしました。
Double Stackでは、撮影面でもいくつかメリットがあります。まずは、派手さを狙わなければ、Wavlet
処理などの強調処理が不要になりました。アップした最初の画像は、スタック後にコントラスト調整をしただけです。Registaxでの処理もしてみましたが、細かいエッジがたくさん生じ、かえって見栄えが悪くなりました。これで十分な出来です。また、光球面に露出を合わせて撮影しても、外縁部の明るいプロミネンスがそこそこ写ります。
 ※ 暗部の強調は処理は必要ですが
私の苦手な、合成処理をしなくても、それっぽく仕上がるようになりました。全球画像にこだわらなければ楽ちんです。
問題点は、相変わらずのムラでしょうか? 今回の画像も、東西で表面の様子が異なるのが分かると思います。エタロンの性能上、通過波長を視野内で均一するのは困難なので、あっちがよければこっちがダメになり、いたちごっこになります。分割撮影していいとこ取りという方法もあるのですが、輝度ムラも大きいので繋ぎ目がそこそこ目立ちます。あと、ASI120MMだと、干渉リングが酷いです。
全球面の撮影にはもう一工夫必要ですが、この光学系に関しては見てる方が楽しいです。
明日ぐらいには、もう一個ブツが来ます。楽しみです・・・

5/8(JST)の太陽



シーイングが今ひとつでした。
とりあえず、アップします。


2015年5月10日日曜日

SolarMax60 Double Stack化 その2


 ※ 5/11の画像を追加しました。
軽いWavlet処理とコントラスト調整のみ実施しています。

今朝はあまりシーイングが良くなかったので、今回、色々と変更した機材の性能確認を行いました。
まずは、SolarMax60です。先日もちらっと感想を書きましたが、Filterの違いによるイメージの違いを再度確認しました。新型のSolarMaxⅡを基準に見た感を記載します。
 ※ あくまで私の機材の評価です。誤解の無いように・・・

SolarMaxⅡ60
 太陽面は、明るいオレンジ色に見える。黒点周囲の活動域はすぐにわかるが、細かい構造は少し見にくい。ダークフィラメントの判別は容易だが、コントラストはやや低く、Filterの微妙な調整が必要。プロミネンスはよく見える。
 画像 上) ASI120MM、Gain9, 3msec

SolarMax60T
 見た目の感じは上記Filterと同じ。黒点周囲の活動域がさらによく見える。大きな違いは、活動域のフィラメント状の構造が見やすくなったこと。ダークフィラメントのコントラストもよくなり、全般的に口径が一つ上がった感じで、明らかに、SolarMaxⅡよりも見やすい。プロミネンスの見え方はほぼ同じ。カメラ感度で比較すると、上記よりやや暗くなっていた。
 画像 中) ASI120MM、Gain11, 3msec

Double Stack
 太陽面は、暗めの赤色に見える。SingleとDoubleの最大の違いは、恒球面の明るさ。私の場合は、カメラ感度で約1/6程度まで暗くなる。背景が暗くなった分、相対的に活動域が明るく目立ち、逆にダークフィラメントは暗くなる。結果、全体的にメリハリのある見え方となった。プロミネンスも暗くはなっているが、見にくくなるほどではない。
 画像 下) ASI120MM、Gain10, 18msec

太陽望遠鏡の見え方は機差が大きいと言われますが、まさにそのとおりの結果になりました。この差がなにからくるのかは、経験の浅い私にはわかりませんが、要因の一つとして半値幅の差があると思います。仕様では<0.7Å以下と記載されているので、0.70Åでも0.65Åでも製品としてはOKなわけなんですよね。それ以外にも、Filterのムラ・中心波長の誤差などが加わって、相対的に見える見えないの状況が生まれるのでは?と思っています。
なんにしろ、Filterの片方を改善することで、性能を上げられる余地があることが分かりました。余計なことでした。観測台も建てなければいけないのに・・・


2015年5月7日木曜日

Hα画像のTone Mapping処理

以前から気になっていた、Tone Mapping処理を試してみました。
彩層面を、露出オーバ、適正、アンダーの3パターンで撮影します。
 ・ 露出オーバ画像:露光時間が適正露出の2倍
 ・ 露出アンダー画像:ヒストグラムが半分になるまでゲインを下げる 

これらの画像をHDR用のアプリ、Photomatrix Proで処理すると、様々なコントラスト画像の見本が表示されるので、その中から自分のイメージと合う画像を選択します。パラメータは調整可能なので、微調整して出力をすると上記の様な画像が得られました。PSにもHDR機能はありますが、今回の画像ではあまり良い結果が得られませんでした。また、PSで色々工夫してコントラスト調整しても、近い感じには仕上がりますが、なかなかこのような躍動感は得られません。
その点、Photomatrix Proは簡単操作の割に、バリエーションが豊富で扱いやすいです。今回は派手めの画像にしてみましたが、コントラストの調整範囲はかなり広いので、もっとおとなしめに仕上げることもできます。
好みが分かれるとは思いますが、ダイナミックに躍動する彩層面を表現するのには、けっこういいんではと思っています。みなさん、いかがですか?

2015年5月6日水曜日

SolarMax60 Double Stack化


    5月4日(JST)

   先端:SolaMax(旧型)、次段:SolarMaxⅡ
昨年から、太陽撮影システムの構成を色々と手を入れています。Daystarの半値幅を変更したことについては、前回ブログに書きました。今日は、もう一機所有するCoronadoのSolarMax60側の半値幅を変更した光学系をテストしました。
昨年海外から入手したのは、初期型のSoloarMax60フィルターです。
現在販売している筒先に取り付けるタイプのFilterは、SolorMaxⅡと呼ばれていて、Filterをチルトさせる機構と、リッチビューと呼ばれる回転機構がついています。これに対し、旧型はチルト機構のみです。どちらも、調整することで太陽面のコントラストなどが調整できます。特に新型のリッチビュー機構は、Hαの中心波長を簡易にシフトできるので、ドップラーシフトで波長がHαからやや外れているプロミネンスなどのを見やすくする効果があります。
では、なぜ旧型を買ったのかですが、これには私なりの理由があります。 ※ 根拠はありませんのでご注意を!
新型は、Lunt社の台頭で低価格化を余儀なくされたCoronado社が、コスト削減目的で開発したものです。リッチビュー機構についても、これを使用することで中心波長からズレたFilterを使用することが可能になり、製品の歩留まり向上につながります。これに対し、旧型のフィルターは太陽望遠鏡が現在の価格の倍ぐらいの頃に生産されてものですから、コストについては今ほど厳しくはなかったと思います。結果、品質面での安定性についても、良いのではないかと考えました。
さて前置きが長くなりましたが、実際の差はどうでしょうか。
同時には見ることができないので、とっかえひっかえでの確認ですが、それでも両者には差がありました。やはり、旧型の方がコントラストが良いです。極端な違いではありませんが、特にダークフィラメントがより濃く見えます。
Double Stackの見え味は抜群です。太陽面の雰囲気は、Singleは明るいオレンジの印象でしたが、doubleは暗い赤という感じになり、全体的に暗くなります。ただ、活動期が明るく輝いているように見え、ダークフィラメントは逆に暗く沈んだイメージになります。メリハリのある太陽面はとても見やすく、DS化したメリットを十分感じることができました。
じろーさんの太陽望遠鏡ほどの凄みはありませんが、撮影も楽になりました。AutoStakkert+PSでの簡単な処理で、ここまで写ります。見てよし、撮ってよしですね。

SolarMax60T+SoloaMaxⅡ60 (0.5Å ), Pentax75SDHF fl=500mm
ASI120MM(B/W), 10msec-30sec(350frames to stack)×2フレーム