2013年6月30日日曜日

6月30日のプロミネンス


久しぶりに太陽を見ることができました。この日は、比較的大きめのプロミネンスが見えました。眼視でも、立ち上がったプロミネンスの細い筋が幾重にも見えて、なかなか見応えがありました。また、雲が多めでしたが、合間合間でそこそこ撮影できました。撮影時間は20秒でしたが、画質が左右で大きく異なります。画面右方向の画像がややぼけています。スタックの問題か、はたまた20秒間でも、この部位の形状が変化しているのかわかりませんが、ちょっと残念でした。
来週は少し天気が良さそうです。土星も撮影が難しくなって来ました。そろそろシーズンオフです。

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-09S2M(B/W)
15msec-20sec(120frames to stack)

2013年6月19日水曜日

アルプス谷の夜明け


月面撮影の続きです。今回はアルプス谷。中央谷がそこそこ写りました。
眠いので、コメントはいずれ・・・

DK125 (318mm, F20)
ASI120MM + R-Filter
30sec

アルプス山脈の長い影


久々の月です。日曜日の夕方から撮影できたので、あちこちと地形めぐりをすることができました。
特にアルプス山脈の日の出風景は、長い影が伸びていて印象的でした。

地名一覧
 右下のクレータ                   : カッシーニ
 アルプス山脈の突端(カッシーニの左やや上)  : アガシ岬(名前あるのですね)
 アガシ岬のとなり(左上)              : デビィユ岬
 さらにその左上                   : モンブラン(まさにアルプス)

また、画面中央下に見える、真っ白な地形はピトン山(高さ2,250m)です。暗い中、この山頂が異様に赤明るく光っていました。実際、撮影時のピトン山周辺はもっと暗い印象です。影を強調するため、周辺の輝度をやや上げました。
太陽もそうですが、月面の欠けぎわもなかなか目で見たとおりの印象に仕上げるのはむずかしいです。

DK125 (318mm, F20)
ASI120MM + R-Filter
30sec×2pics (欠けぎわを露出を変えて2枚撮影しHDR合成)

2013年6月15日土曜日

FireCaptureが動いた (*^_^*)


FireCaptureの最新Ver2.2は、日本語Windows環境で動かいないと報告していましたが、ER32さんの6月6日のブログ
解決方法が載っていました。私もこの手順にそって作業してみましたが、Window7の64bit版はダメでしたが、32bit版は無事起動しました。上の画面は、起動したFireCaptureV2.2です。
ER32さん、ありがとうございました。情報を教えていただいたRB星さん、ありがとうございます。 よかった、よかった。

(6/17 追記)
ER32さんが、Windows64bit版での問題も解決してくれました。ここを参照してみてください。
これで、この問題は全て解決したと思います。結局、私はワーワー騒ぐだけで、なんにもしませんでした。ちょっと反省しています。(-_-)
ER32さん、あらためてお礼を申し上げます。


2013年6月12日水曜日

ASI120MM CMOSカメラ


今回紹介するのは、ZWO社のASI120MM、CMOSセンサーを搭載したUSB接続のカメラです。
中国もしくは台湾製のカメラと思われますが、なぜか原産国表示がありません。でも作りは上等で、サイズがやや大きいものの、重さはDMKと大差がない感じです。センサーは、Aptina Imaging製のMT9M034が使用されています。このCMOSセンサーの分光特性は以前ブログに載せていますが、ピーク感度ではQEが75%に達します。CMOSセンサーはノイズが大きく、過去のテストではゲインをあまり上げられなものが大半でした。太陽や月の撮影では問題ありませんが、惑星にはあと一歩という印象でしたが、このカメラは、CCDと遜色ない感度・ノイズ特性を持ち合わせています。ようやく、本格的な惑星撮影に使用できるCMOSカメラの登場です。
このカメラ、今のところ日本での代理店はなさそうです。私は、ドイツのTS社より299Euroで購入しました。円安の影響で、送料込で約4万円をやや超えます。メーカのH.P.に載っていた、このONLINEショップでは、送料込で$317で販売しています。こちらの方が、お得です。
このカメラの特徴は次のとおりです。

 [特徴]
  ・ XGA(1280×960)仕様なので、月・太陽にも向いている。
  ・ ピクセルサイズが3.75μmなので、拡大率が小さくてすむ。 ※ ICX618は5.6μm。拡大率の変更が必要になります。
  ・ USB2.0接続なので、取り扱いが容易。
  ・ ROI(撮像範囲を絞る)により、カタログ値では100FPS以上。4年前のPCで、70FPSまでは動作確認。
  ・ 実感度が、SONY製CCD-ICX445(モノクロ、ピクセルサイズ3.75μm)と同等。
  ・ 低価格(30,000円 $299) ※ 送料は別です
  ・ 付属品が豊富。(f=2.1mm CCTVレンズ、1.25"-IRカットフィルター、Φ31.7mmスリーブ)※ 写真参照

買って(°д°)なのは、CCTVレンズが付属していること。$299の価格で、レンズだのフィルターなどが付属しているとは・・・
原価はいったいいくらなのでしょうか?
本題のカメラの性能ですが、前回と同じく既存のCCDカメラと比べてみました。DMKと比較すると、ピクセルサイズの違いから拡大率を変更する必要があるので、今回は同じピクセルサイズを持つ、PointGreyのChameleonと比較しました。ICX445を搭載したこのカメラは、惑星用として十分な感度を持っています。昨年までの土星は、ほぼこのカメラで撮影しました。


見ての通り、ASI120MMはCahmelonより10%ほど露出が伸びましたが、ほとんど差が無いと思います。Chameleonは、ROIを設定しても最大で25FPS程度までしかキャプチャーできませんが、ASI120MMは、70FPSでも可能でした。30cm-F20で最大ゲインまで上げると、L画像はそのレートで撮影できます。これは、前回紹介したBlackflyよりも高速です。長時間露光時のノイズもCCD並で、カメラ自体は1,000秒まで設定できます。撮影した画像の等はCCD撮影したものと同等でした。実際、画像処理も含めて従来と同じ手順で問題なく作業できます。
海外では既に多くの方が使用しており、最近ではフィリピンのGoさんが、このカメラで素晴らしい土星の画像を撮影しています。ちなみに、前回のブログの土星画像もこのカメラで撮影しています。

問題点
大きな問題はありませんが、購入直後からCCD面はゴミが多かったです。保護ガラスが無いのが一因ですが、外から見えないところで、手を抜かれている感じがあり残念です。また、CCD用のキャップが付属していません。自分で用意するか、撮影後にCCTVレンズを付けておく必要があります。まぁ、たいした問題ではありませんが。
惑星撮影でもっとも気になる点は、電子シャッターがローリングシャッターということです。これは、全画素に対し一斉に露光の開始・終了を行うのではなく、1ライン毎に開始・終了を制御する方法です。コスト面でメリットがあるので、CMOSセンサーではごく普通の仕様です。このシャッター方式の欠点は、画面の最初と最後のラインで時間差が生じることです。一般撮影でも、コンニャク現象などと呼ばれていますが、動体やカメラを揺すりながら撮影すると、プリンとか、コンニャクが揺れるような様の画像になります。
本来、静止画像に近い天体撮影では問題になりにくいのですが、シーイングの影響でゆらゆらしてる対象に、ローリングシャッターによる乱れが加わる可能性があります。今後は、その当たりの確認もしてみたいと思います。

付属のCCTVレンズで撮影(望遠鏡の向いている先の星が土星)
0.5秒露光×10フレームぐらいをRegistax5.1で合成(ノイズを消すのに使用)

このカメラで撮影した月です。

2013年6月9日日曜日

6月5日の土星


季節感はすでに夏ですね。梅雨の気配がまったくありません。でもシーイングはイマイチの状態が続いていますね。6月8日も撮影をしたのですが、これがもうぐにゃぐにゃで、早々に撤収しました。
この画像は5日の撮影です。透明度が悪く、通常の倍近い露出をしています。

2013年6月5日水曜日

6月3日の土星


特に根拠はなかったのですが、好シーイングを期待して望遠鏡を向けましたが、予想に反して忙しく動く土星にがっかりでした。でも、2/5(4/10)程度のシーイングは、日本では決して悪くありません。気を取り直して撮影です。(少し大袈裟です) せっかくなので、以前から試してみたかった20分のL画像を撮影してみました。2分×10枚の画像をWinJUPOSのDe-roation機能で合成しています。スタックした枚数は12,000フレームに及ぶので、かなり強めの画像処理をしても、そこそこ絵になりました。一昨年の白斑点活動の残骸が確認できます。
海外では、40分を超える露出時間をしている方もいますが、極の六角形構造はもちろん、その周囲の模様まで写し出しています。位置精度にどのくらいの信頼性があるのかは不明ですが、淡い模様の抽出方法としては効果があると思います。
ちなみに、今回撮影に使用したカメラはASI120MMです。CMOSカメラですが、よく写ります。今度レポート書きます。

DK125 fl=6350mm 直焦点
ASI120MM (mono pix 3.75um)
LRGB L:1200sec (25msec), RGB:120sec(32-70msec)

2013年6月4日火曜日

6月4日の太陽(プロミネンス)


今朝の太陽は、見ごたえのあるプロミネンスが発生していました。シーイングの変動が激しく、ピント合わせがしんどい状況っだったのですが、思いのほかよく写りました。
撮像だとイマイチ伝わらないんですが、プロミネンスは目で見たほうがずっと綺麗に見えます。コントラスト低い惑星の表面と違い、太陽縁は輝度差が激しいのでみなさん色々と工夫していますが、ダイナミックレンジの広い人の目はやっぱり凄いなと、感心しながら眺めていました。


この画像ではダークフィラメントが太陽の縁にあり、一部がプロミネンスとして見えています。呼び方が違うだけで、両者が同じ現象なのがよくわかります。

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-09S2M(B/W)

2013年6月3日月曜日

CCD/COMSセンサー感度特性


最近紹介した、Blackflyカメラに使用されているICX693(モノクロ仕様)の感度特性の資料を見つけたので、アップしておきます。比較用にICX618などのグラフと重ねてみました。

 ① ICX618:DMK21AU618に使用されている。赤~近赤外が、特に高感度。最近の主流素子。
 ② ICX445:PGR社のChameleon等で使用されている。ピクセルサイズが3.75μm。私の場合、月や土星はこれで撮影。
 ③ ICX639:Blackflyで使用されているデバイス。550nmより短い波長の感度の良さが際立っている。
 ④ MT9M034:次回、紹介予定のCMOSセンサー。惑星用として十分使用に耐える、初のCMOSカメラと評判。

③、④が最新のデバイスです。どちらも変換効率が、ピーク時に70%を超えています。特にMT9M034は80%に手が届くところまできています。分光特性は、どちらかといえば、可視光域でバランスの得やすい特性のように見えますが、ICX693が短波長域で、他よりも特性が左にシフトしているのが分かります。UV撮影時に高感度で撮影できるのは、やはりこのような特性が寄与していそうです。次回は、惑星向けのCMOSカメラ、ASI120MMを紹介する予定です。

6/3 追記
このグラフは、あくまでもセンサーのQE(量子効率)を比較したものです。 ※QE=発生した電子数÷入力光子数
ICX618とICX445は同じようなカーブですが、ピクセルサイズがICX618は5.6μm。ICX445は3.75μmなので入射する光子数自体が異なり、当然、電気信号のレベルが変わります。また、カメラ側のA/D変換部の構成やゲイン回路で最終的なレベルが決まるので、カメラの実感度がこのグラフ通りなるとは限りません。実際CMOSセンサーは、今まではノイズが大きかったため、QEが良くてもS/Nが悪く、結局はゲインを上げられませんでした。CMOSセンサーのQEは既にCCDを上回りますが、惑星用で普及しない要因がこの点でした。

2013年6月2日日曜日

太陽撮影システム3 (Daystar社 ION 0.7Å)


太陽観測用のHαフィルターメーカーは、Coronado、Lunt社が有名ですが、知る人ぞ知るメーカーとしてDaystar社があります。日本で使用している方はあまり見かけませんが、Coronadoのような口径の制限が無いので、海外では15cmを超える望遠鏡に取り付けて、素晴らしい画像を撮影している方々がたくさんいます。今回紹介するのは、Daystarで一番安い部類に入るフィルター"ION"です。下の写真の赤い部分がフィルターがそれにあたり、半値幅が0.7Å仕様で約$2,200でした。プラス、エネルギーカットフィルターやアダプター送料等で、総額$3,000の出費です。 ※ 円高だったので助かりました・・・
Coronadoの90mm望遠鏡が送料込で$4,000ぐらいですから、既存の望遠鏡を利用できるこのフィルター利用することで、多少なりとも安くすることができます。


"ION"は、フィルター単体で超狭小のHαフィルターを実現しています。これを焦点側に配置するので、口径の制限はありません。ただし、フィルターや光学パーツのダメージを防ぐため、先端部にUV/IRをカットするエネルギー遮断フィルター(ERF)を取り付けます。このERFは、エタロンほど高価ではありませんが、市販で入手可能なものは20cmぐらいまでです。したがって、このフィルターで実質的な口径の制限が発生します。
このフィルターを使用する上での一番ポイントとなるのは、F値です。下の構成図を見ての通り、フィルターの手前に、バローレンズを配置しています。そしてメインユニットのHαファイルターという構成になります。
バローレンズを使用する理由は、このHαフィルターに入射する光を、できるだけ平行光にするためです。Fが短くなると、半値幅の値が定格より大きくなり、表面のコントラストが低下していきます。メーカは、F27~F30程度を推奨しています。私の場合、望遠鏡の口径を絞り、F27.2で使用しています。

 ・ Borg125mmF6に対し、口径を110mmに絞る。 ※見た目はF6.8になる
 ・ Televue Powermate 4xにより、 6.8×4=27.2で使用。

構成図

F値と半値幅の関係

エネルギー遮断フィルター(黄色)の画像です。フィルター自体は、130mm以上ありそうですが、内側に110mmの絞りが入っています。フードに被せて、ネジ3点で、半固定状態で使用しています。


なんだかんだと話が長くなってきたので、今回はここまでにします。
次回は、このフィルターを使用する上でのコツや問題について書いてみたいと思います。
ではでは

6月1日のプロミネンス


梅雨に季節に入りましたが、この日は朝から爽やかな青空が広がり、久しぶりに太陽を撮影しました。この日の太陽面は黒点が少なく寂しいイメージでしたが、ちょうどプロミネンスの噴出が発生していて、淡いものの太陽から飛び出した様がとても印象的でした。
上の画像は、この噴出現象を5分・6分の間隔で撮影したもので、形が様変わりしていく様子が分かります。噴出したガスの勢いが太陽の脱出速度に足らず、落下していく様子が見れたと、某ブログに解説がありました。勉強になりました。
さて、このフィルターの目下の悩みは、背景コントラストがあまりよろしくないという点です。プロミネンス撮影時の背景は、様々な原因で発生した迷光でかなり明るく、淡い構造が消えてしまいます。要因の一つに、接眼部のたわみがありました。紐で釣ってたわみを改善していますが、この引っ張る量を加減すると背景の明るさが変わります。基本的に、ヘリコイドの動きがスムーズになる点、つまり、たわみが矯正された箇所で背景が暗くなります。これで一つ解決。次の改善は、多分フィルターで反射した光が折り返して発生していると思われる、ゴーストでしょうか?これは、光球面の撮影にも影響しているのですが、対策を検討中です。

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)、15sec(stack 100pics)

2013年5月25日土曜日

5月24日の太陽


この日は、比較的明るめのプロミネンス3つ4つ見えました。右上の画像は、光球面に露出を合わせた左の画像から、プロミネンスと光球面を分離し、別々に処理したものを再度合成しています。プロミネンスが明るいと、露出アンダー部分をここまでも持ち上げることができます。左下の画像は、最近流行りの太陽面をネガで表現した画像です。黒点が明るく表現されます。誤解を招く画像にはなりますが、太陽表面の様子がより立体的に見えるのがメリットでしょうか。この手の画像を有名にした?本家の方の画像をリンクしておきます。

CORONADO Solar Max II 60 BF10 + Kasai 2x
PGR製CCD BFLY-PGE-09S2M-CS(B/W)で撮影

右下のみ
BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)で撮影

2013年5月21日火曜日

太陽撮影システム2 (Coronado H-alpha Filter)


以前、白色光での撮影システムを紹介しましたが、今回はHα光での撮影システムです。
Hα用フィルターは、2種類を使用しています。
 ① Coronado Soloar MaxⅡ60+BF10, Pentax75SDHF
 ② Daystar ION (0.7Å), Borg 125mmSD (口径絞り110mm)
今回は、①のCoronadoのシステムについて書いてみます。
この望遠鏡、昨年の日食騒ぎの中で、ついポチっとしてしまった一品です。最初は、すぐに飽きてしまうのだろと思っていましたが、これがまたツボにはまってしまい、②のDaystarへの散財につながります。


さて、Coronadoの太陽望遠鏡は、完成品を購入することもできますが、私は市販の望遠鏡にメインフィルターと、ブロッキングフィルターを取り付けて構成した太陽望遠鏡を使用しています。
メインフィルタでは、IR/UV等の有害な波長成分のカットと、エタロンと呼ばれる極挟帯域フィルターで構成され、特定の波長域(Hαを含む複数の波長)だけを通過させます。ちなみに、太陽望遠鏡ではこのエタロンが肝のパーツで、このパーツの出来が製品のバラツキに直結しているようです。後段のブロッキングフィルターは、エタロンが通過させる複数の波長成分から、Hαだけを抽出します。この仕組みで、安全に太陽を観測することができます。
では、市販の完成鏡筒を使用しない理由はなんなんでしょうか?
Coronadoの太陽望遠鏡はHαに特化しているので、光学系の設計波長はHαそのものです。これは収差の面で非常に有利なはずなのですが、知りうる限り、ここを評価している記事は見たことがありません。(評価しにくいとは思いますが) 
個人的な意見と狭い知識ですが、下記のような理由だと思っています。

 ① フィルター部の構造
   Cornadoは、現在Meadの傘下になっています。そこで新規に開発されたのがSolarMaxⅡです。この望遠鏡、初代とは大きく異なる点があります。初代は、私のシステムと同様で先端にエタロンが配置されていました。当然口径は60mmです。これに対し、2代目はエタロンが焦点面側、つまりはブロッキングフィルターの手前に配置されています。フィルターの調整が手元側できるメリットはありますが、最大の目的は、エタロンのサイズを小さくすることにより、コストダウンを図ったためだと思われます。エタロンは本来、平行光束を要求されます。これが、集光側に配置されていることから、フィルターの中心波長が光軸から離れるに連れ、微妙に変化している可能性があります。実際、どれだけの影響があるのかは不明ですが、この点を指摘する方は多いです。

 ② 合焦部が安っぽい
    ヘリコイド式の合焦部は非常に安っぽい作りです。ブロッキングフィルターのネジもプラスチックなので、デジイチを付けて撮影する気にはまったくなりません。

上記のような理由から、フィルターを購入してオリジナルを作製する方が多いと思います。ただ、金額面ではメリットがまったく無いので、ご注意を!
 ・ CoronadoSolarMaxⅡ60mm Telescope with BF10  $1499
 ・ CoronadoSolarMaxⅡ60mm Filter with BF10        $1399   ※ $100しか違いません

次に、システムを構成する場合のポイントをまとめてみました。
 ① 口径
   Coronadoで入手可能なものは、40mm, 60mm, 90mmで、全て半値幅0.7Åです。
   フィルターの中央には、エタロンを支える?なにかがあり、中央遮蔽構造になっています。
   価格と口径のバランスで考えれば、60mmがやはりお買い得です。
        ・ 40mm with BF10  $1099
        ・ 60mm with BF10  $1399 ← お買い得
        ・ 90mm with BF15  $3099 ← 一気に高くなる


 ② ブロッキングフィルターのサイズ
   これは、BF5,BF10,BF15,BF30から選定します。数字の違いはフィルターの直径(mm)です。BF5は直径5mmの
   フィルターが内蔵されています。このフィルターは焦点面付近に配置されるので、小さいと、太陽の全球面の撮影が
   できなくなる場合があります。目安としては、使用する望遠鏡の焦点距離で計算します。全球面を撮影する場合、
   焦点距離の約1/100の大きさで投影されるので、BF5であれば、f=500mm。BF10であればf=1,000mmになります。
       実際は、この計算値の80~90%程度で使用すれば問題ないようです。
   私の場合はBF10を使用していますが、f=500mmの望遠鏡なのでかなり余裕があります。

BF10
③ 焦点距離
   上記のBFのサイズにも影響しますが、それ以外にもいくつか注意が必要です。まず焦点距離が長いと、調整が大変です。フィルターには、調整機構がありこれを操作することで、表面模様のコントラストやプロミネンスの明るさが変わります。調整時は、太陽像を見ながら行う必要がありますが、焦点距離が長いと手が届かなくなります。過去に、f=1,200mmの望遠鏡に載せたことがありますが、モニタを使用して調整したものの結構手間でした。また、太陽の全球面を一発で撮影する場合も、焦点距離が長いと大きめなCCDが搭載されている機種でないと、視野からはみ出します。まして、DMK-21AU618のようなカメラで動画撮影を行う場合は、焦点距離が400mmでも最低4回の撮影が必要です。木星や土星と同じシステムで撮影しようと考えている方は、要注意です。

さらなるシステムアップ・・・
Coronadoのシステムは、メインフィルタを2段重ねることで半値幅を0.5Å以下にすることができます。ダブルスタックと呼ばれているものがそれにあたります。全体的な輝度は下がりますが、彩層面のコントラストは向上するので、表面構造は見やすくなります。ただし、フレアを見る場合は輝度がかなり下がっているので、淡いものは見にくくなるという意見もあります。ねじ込み式なので簡単に後付けできますから、最初から用意する必要はありません。

最後まで読んでくれた方、お疲れ様でした。
偏見なく書いたつもりですが、あくまでも私見なので、ご理解を。

ではでは

Autostakkert2でのイメージ


私が画像のスタック処理で使用しているAutostakkert2について、Registax6との違いに関する質問があったので、こちらにまとめてみました。

上の画像は、5月17日のR画像を50%スタック処理した時の違いです。左が各ソフトでスタックした直後の画像。右が、Registax6でWavlet処理をした結果です。Wavlet変換する前の画質が大きく異なるので、パラメータは異なります。
一番の違いは、右側の処理後ではなく、左側のスタック直後、未処理時の画像が大きく異なります。Autostakkert2は、スタック処理時にSharpedと名付けられた先鋭化処理を行うことができます。この画像を元画像にブレンドしたものをスタックしていきます。結果がこの差です。この差は、一見大きそうに見えますが、処理後はさほど変わらない画像になります。個人的には、両者に極端な差はないと思っています。 では、なぜ私がこのソフトを利用しているかですが、理由は単純で、スタック直後の土星のリングがとてもシャープに見えるからです。特にカッシーニの隙間は、シーイングの良い日に、眼視で見たイメージに非常に近い気がします。結果、処理時の目標イメージが異なるようになりました。Registax6の頃は、スタック直後の半ボケ画像から、いかに表面模様を抽出するかが、処理目標でした。結果、リングの構造(特にカッシーニの隙間)が極端に強調された画像になっていましたが、当時は、これを不自然だとは思っていませんでした。しかし、Autostakkert2から左のようなイメージが出てきて以来、このイメージをいかに維持したまま表面模様の強調できるかが、処理の目標になりました。元がシャープなので、安易な処理をすると不自然さが目立つようになり、処理は全体的に抑え気味になります。画像処理の性能向上を期待して読んでいただいた方には申し訳ないのですが、つまりはこのような理由から使用を続けています。もちろん。白斑の名残を抽出するような場合は、異なる処理をしますが・・・
また、Registax6と同じ程度と書きましたが、ツボにはまった時は、Autostakkert2の方がちょびっと解像度が得らるような気がしています。

これ以外の長所、そして短所もあるので、まとめておきました。評価が分かれているソフトですが、一度は試してみる価値はあると思います。

 (長所) ※上記以外
   ・ パラメータが少ないので使い方が簡単。比較的処理も早い
   ・ 画像をセンタリングしてくれるので、LRGB合成時の位置合わせが微調整のみですむ。

 (短所)
   ・ シーイングが良くない時の画像は、継ぎ目が破綻する場合が多い。 ※ 特に火星はダメでした
   ・ Wavlet処理ができないので、Registax6と大差がない場合は、手間が増えるだけです。

ではでは

2013年5月18日土曜日

5月17日の土星


昨晩は、23 22時頃から30分ほどの間、シーイングが安定しました。小刻みなピントの変動はあるものの、モニタ上でも模様の境界部などがはっきり見えます。
RGB分解してるので、B画像がクリアに映ればかなりの画像になるのですが、さすがにBは暴れ気味でした。結局LRGB合成で、報告しています。近赤外画像には、うっすらとですが、エンケの間隙らしきものが見えます。あと一歩なんですがね。

5月18日のプロミネンス


今朝見えた、プロミネンスです。当初は、1748群のフレアを期待したのですが、Xクラスを頻発した頃に比べると活動がやや低調のようで、発生する気配が感じられませんでした。雲も多く、撮影枚数は多いものの、途中で見えなくなることの繰り返しでした。でも、お昼頃にはCクラスのフレアが出現しているので、もう少しはいけそうかな。
残念なのは、明日も雲が多そうな予報。せっかくの休みなのに・・・

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)で撮影


2013年5月16日木曜日

FireCapture V2.2について


BlaclFlyカメラのテスト記事で紹介した、FireCaptureというフリーのキャプチャソフトですが、その後、多少の進展があったので、報告します。
FireCaptureは天体用の動画撮影ソフトで、電動フィルターの自動切り替えなどもサポートしているなど、個人的にとても気に入っています。ところが、最新VERのV2.2から、私のPCでは起動しなくなりました。先日、私のブログを見てダウンロードした方がいらっしゃいましたが、その方の報告でも起動しないようです。

 ・ V2.1:正常に動作
 ・ V2.2:起動しない ← 現時点での正式版
 ・ V2.3beta:起動しない

V2.1は既に公開していないので、新たに使用する方は入手ができません。昨日、製作者のTorstenさんにメールを送り、この状況を伝えましたが、"That is really strange..."ということで、原因は分からないとの回答でした。
 ※ 実際は何回かのやり取りしています。きちんと対応してくれる人物なので、誤解のないように。

さて、この状況で完全に行き詰まりましたが、本日試した方法で無事?起動させることができました。方法は実に簡単で、OSを英語版に入れ替えるということだけです。 (*_*) 
根本的な解決になっていませんが、とりあえず動いたので私はこれでOKになりました。それでも、作業中にいくつか気になった点があるので、ここに記載しておきます。

 ① 日本語OSで試してみたい方(今のところ起動できないが)
   ダウンロードすると適当なフォルダで解凍します。解凍後、最初に"FireCapture.exe"を起動しますが、
   この時、右クリックして”管理者権限で起動する”から起動させてみる。
   最初の起動時にDOS画面が出て、環境設定をした後、カメラ毎のショートカットを大量に作成するので、
   使用するカメラのショートカットで以後立ちげます。 例)FireCapture_TIS (ImaginSource社のカメラを使用する場合)
   
 ② 英語OSで試してみたい方
   英語版OSを購入してインストールすれば良いのですが、一発目はやはりFireCaptureを起動できませんでした。
   原因は不明ですが、log.txtを見ると、いくつか項目が日本語になっています。キーボード選択時に、日本語タイプを
   選択したのが原因かもしれません。再度OSのインストールを行い、この時はすべて英語にしました。
     ※ TimezoneもUSAです。
   また、Windowsのアップデート以外は、なにもせず、FireCaptureをダウンロードし、管理者権限で"FireCapture.exe"を
   起動させた結果、正常に起動しました。確認の意味で、一度フォルダを削除してから再度解凍し、今度は、通常の
    Wクリックで"FireCapture.exe"を起動させてみましたが、これも正常でした。
   WindowsのDVDのお持ちの方は、インストール時の言語選択で英語を選択すると、試せるかもしれません。
   ただし、ライセンス上は問題があるかもしれないので、そのあたりは自己責任でお願いします。

なんかここまで書きながら、万人向けではないなと感じています。
日本で、普通に動いている方はいないのですかね。動いている方がいらっしゃれば、情報お願いします。
なお、この件は製作者に伝えています。対応してくれるかは不明ですが、V2.3の正式リリースでは改善されていることを期待しています。
ではでは。

2013年5月15日水曜日

太陽が元気です


前回の動画に写っているループプロミネンスを含む、1745黒点群の画像です。
この画像では本体はまだ見えていませんが、ループプロミネス直下の黒点は、1748黒点群になりました。非常に活発で、既にXクラスのフレアを4回発生させています。今後の活動が楽しみです。

CORONADO Solar Max II 60 BF10 + Kasai 2.5x
PGR製CCD BFLY-PGE-09S2M-CS(B/W)で撮影
15sec×2pics mosaic



2013年5月14日火曜日

5月14日 ループプロミネンス



東の縁から新たに出現した1748群ですが、既に3回のXクラスのフレアが発生している、非常に活動的な黒点です。
今朝は、きれいなループプロミネンスが見れたので、12分間分の画像を動画にしてみました。明るい塊が落ちていくと、最後にニョロっと小さなプロミネンスが吹き上がります。苦労した割に、意外と地味な展開でした。シーイングと追尾精度の関係で画像がユレユレです。船酔いに弱い人は、見ないように・・・

BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)で撮影
2sec間隔 360枚の画像で作成 (計12min)



2013年5月12日日曜日

5月前半のプロミネンス


タイトルがてきとうで、すいません。
上は5月6日、下が5月12日(今朝)の撮影です。
特に、今朝のプロミネンスは横に大きく広がっていて、とても綺麗でした。


上:BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
  Powermate 4x, DMK51AU02(B/W)で撮影

下:BORG 125mmSD、Daystar-ION (0.7Å)
  Powermate 4x, BFLY-PGE-05S2M(B/W)で撮影
  3枚の画像をモザイク合成